歴史に学ぶな
歴史に学ぶな / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
これいい本である。お薦めである。新右翼『一水会』顧問の著者からの素敵なメッセージ。昔、歴史小説家の永井路子の講演を読んだら「日本人はやたらに『歴史に学ぶ』『誰それに学ぶ』等と言いますが、歴史は学ぶものではありません。楽しむものです」と言っていて、私は激しく同感した。この本も、司馬遼太郎はほとんど読み、大河ドラマはほとんど見て、NHKの人形劇『三国志』『平家物語』も全て見る鈴木さんが、歴史に背中を押される恐怖を体験と共に誠実に語っている。これが右翼の人の本かと思うほど優しく、公平である。繰り返し読みたい。
2018/10/10
二分五厘
ビスマルク「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」個人の経験には主観が入るものであり、その経験則には偏りが否めない。だけど歴史に学べと言われても、その歴史は虚構の上に成り立っていないか。慣習化された呪縛に囚われ、自分を失い、思考停止に陥っていないか。ビスマルクの言葉(とされているもの)は聞こえはいいけど、それに囚われて『思い上がり』や『自虐』を産み出す危険性も孕んでいる。自分だけではなく、『他人のふりみて』己の立ち位置を見極めていきたい。
2016/06/07
うらじ
過激な右翼だった著者の自戒を込めた金言の数々。歴史に学べとはよく言うけれど本当に学ぶことはできるのか?好きな歴史上の人物ランキングをよく見るけれどメディアから想像した人物像でしかなく、都合のいい一面を切り取って見てるだけ。歴史の全てを見ることはできないし全てから学ぶこともできない。歴史から教訓を得るとしたら耳の痛い暗部やタブーからだが現代は『歴史』に縛られかつての失敗を口にできない社会になりつつある。勇ましい右翼たちは歴史に洗脳されている。歴史のイデオロギーからもっと自由になるべきだろう。
2014/09/09
sirokuma
鈴木邦男さんの歴史観が面白かった。ビスマルクの「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」は本当にそうなのか? 歴史は真実を語っているのか? 歴史に学ぶのはかえって危険なのではないか? という疑問がわいてくる。
2014/05/31
takuchan
他国の文化を、歴史を、主張を尊重しなければ、それは「自尊」ではない、単なる思い上がりだ。歴史を繰り返させ、国を滅ぼす元凶となる。/著者自身が右翼運動の際に暴力を正当化するために歴史に背中を押された。そんな自戒を込めて著わした本書。美化され、エンターテイメント化された歴史は楽しむならいいが決して学ぶなと、思考停止に陥ることに警鐘を鳴らす。そして日本が失敗し、負けた歴史をきちんと学ぶ、「日本失敗史」から教訓を得ることが大切だと言う。さらに気持ちのいい読書だけでは進歩できないという言葉も印象的。
2015/03/24
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