SMに市民権を与えたのは私です (立東舎文庫)
SMに市民権を与えたのは私です (立東舎文庫) / 感想・レビュー
毒モナカジャンボ
洋画の台詞翻訳の仕事をしまくりながら奇譚クラブで再開した『花と蛇』の連載原稿を書いているとき、ヒッチコックの映画を観すぎて令夫人や令嬢の顔を思い浮かべようとしてもヒッチコック爺の顔が思い浮かんでしまう場面は悲惨だが最高すぎる。この自伝に出てくるような無茶苦茶な人々は、今も形を変えてどこかに生き残っているのだろうか。米長邦雄から学んだ、運命の女神に愛される職業と人格、鍛錬を積むことというのは、小説家、ましてや文学者になどなる気もしなかった「俗人」の確固とした人生観を逆に表しているように思う。
2021/04/02
あほーす
これぞ昭和!といった感じの波乱万丈。阿佐田哲也作品の登場人物のようだった。二人の交流は無かったのだろうか?と少し気になる。文章も軽いノリで読みやすかった
2016/03/17
コノヒト
サド・マゾのSMなのだけれども、「SはサービスのS、MはマンゾクのM」という俗言もあって、それで言えば、自身の半生を戯画化して描くことこそ旺盛なサービス精神のたまものにほかならず、この自伝の著者はまさにSの人だ。大阪新世界の賭け将棋のシーンから始まる私小説風の冒頭を読めば、自ずと織田作之助が思い起こされ、団鬼六の将棋ものもまた、読んでみたいと思うのだった。
2022/11/24
櫻主
神田古書街の外れに芳賀書店のビルがある。最近では影が薄くなったきらいはあるが、しばらく前まではいつも人が溢れていた。本書を読むと、あぁ、あのビルはこうして建ったのだろうと思わせる。美濃村晃(喜多令子)、辻村隆、谷ナオミなど時代を築いた人々との交流が記される。いつの時代もそうであろうが、時代の最中にいる当人たちは時代を作っているといった認識なくその日を生きているのだと、改めて気づかされる。団鬼六のような生き方をしてみたいものだと思いながら、私を含む多くの人々には、そんな度胸はない。その日を生きるのが精一杯。
2019/06/13
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