歌人紫宮透の短くはるかな生涯 (立東舎)
歌人紫宮透の短くはるかな生涯 (立東舎) / 感想・レビュー
アマニョッキ
サブカル好きの魂が咽び泣く感激の一作。短歌を楽しみ、本文を楽しみ、脚注を楽しみ、もうどんだけ楽しんでも楽しみつくせない情報量。読んでいる間中ずっと脳内麻薬どばどば、ジューシーフルーツのごとしでありました。豊崎社長激推し&みんな大好きほむほむの帯=もっと読まれてもいい名作のはずではー?
2019/09/10
なつ
斬新な形の小説。本編の下にある注釈も読んでたらすごく時間がかかった。この本に書かれた歌人である紫宮透の生涯、彼の周りの人の証言、31首の短歌解説。まるでノンフィクションを読んでいる感覚だけれど、全て創作。膨大な情報量が止めどなく溢れてくる。ここまで細かい設定を考えた作者の想像力には感服ですね。もし紫宮透が実在していたら好きになりそう。
2020/04/19
Maki
「サブカル好きの魂が咽び泣く」なんてレビューを読んだものだから手にとるしかないよね。わたしはサブカル好きと言えるほどの人間ではないけれど。ほむほむの帯文にあった「ただし80年代限定版」とゆうのに最初は疑ってたけど読むほどに納得。リアルよりリアリティーって歌っていたのはわたしの神様ヒロトだけど、まさにリアルよりリアリティーな本。こんな世界があったら参加したかった。著者の知識量にうち震えた。楽しかったです。
2020/03/05
iuba
短歌の読解や鑑賞について興味があったので、各章それぞれにひかれる歌、全三十一首の緻密な読み解かれ方・それぞれに評価されている解釈と亜流ではありながらこのような読み方もできる、と示されるものを読んでいるだけで、自分自身も短歌を楽しむ懐を広げられていくようで面白く読んだ。どこか浮世離れした紫宮の生き方、人々との関わり方は、生活に余裕があり、また己の才覚を頼みに生きることに恐れもない文化人の透徹した自意識が見え隠れし魅力を添えている。短歌という文化に触れる新しい形の小説にみえた。
2019/03/22
がらす
夭折の歌人・紫宮透の生涯を、作品と関係者の証言から紐解くノンフィクション。……と見せかけて、紫宮透の存在も関係者の回想もすべて創作という読み物です。さまざまなエピソードから優しく憂いのあるひとりの歌人像が立ち上がり、文学史の1ページに確かな根を下ろしているようで、なんとも不思議な気持ちになりました。作品の解釈をめぐる論争や、用語の解説まで徹底的に作り込まれていて、作者に頭が下がります。万人受けするタイプの本ではないかもしれませんが、しっかり評価されてほしいと思った一冊です。
2020/04/11
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