刺青 (立東舎 乙女の本棚)
刺青 (立東舎 乙女の本棚) / 感想・レビュー
☆よいこ
耽美系。若い彫物師の清吉は、とても腕利きで客が痛みに苦しむ様を舌なめずりして喜ぶたちだった。いつかは美しい女の肌に作品を彫りたいと願う。ある晩、清吉は駕籠屋の簾からのぞく、女の美しい足に惚れ込む。5年後、理想の足を持つ少女と再会し、その背中に蜘蛛の刺青をいれる。▽絵が美しい。
2021/08/06
アキ
谷崎潤一郎初期の1910年初出の小品。刺青師の得も言えぬ陶酔の世界。女の素足の清冽な描写。5年越しの望みを果たす、娘の背中への女郎蜘蛛の刺青。湯へ浴り苦痛に耐えた女は、今迄の臆病な心をさらりと捨てて、剣のような瞳でまず清吉を射抜いた。夜汽車の絵とコラボした乙女の本棚の新刊です。
2021/07/09
寂しがり屋の狼さん
【乙女の本棚】シリーズ20冊目📚谷崎潤一郎は同シリーズの『魔術師』『秘密』に続き3作目、挿絵は『夜長姫と耳男』を担当された「夜汽車」さん(◍•ᴗ•◍)自らの欲望を満たすため少女を眠らせ入墨を彫る刺青師。少女は彫られた刺青により内に秘めた性分に目覚め世の男を肥料とする女性へと…夜汽車さんの挿絵が妖艶な世界をマイルドに表現していて好き(◕ᴗ◕✿)
2021/08/28
ちえ
谷崎潤一郎自身は「刺青」を処女作と言っているとのこと。針を刺される人の苦しみを快楽としていた刺青師の宿願は自分が求めていた美しい女の肌への刺青。念願を果たした時「ーお前さんは真先に私の肥料になったんだねぇ」娘は女になり剣のような瞳を輝かせた。細部まで描かれた絵もとても綺麗で引き込まれた。最後の絵はもっと「女」を感じられたら更に良かったな。
2021/09/19
たまきら
百年以上前に書かれた谷崎のザ・陰翳礼讃。男に都合の良いファム・ファタールを描かせたらこの人ぐらい最低ですごみのある人はいないと思う。この男の世界を描くにはあまりにも可憐すぎるイラスト。「美少女」が、何か違う禍々しいものへと変化していくところを描いてほしかったです。…って、乙女に何を読ませてるんじゃい。
2023/12/01
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