バルビエ・コレクション 2 ビリチスの歌
バルビエ・コレクション 2 ビリチスの歌 / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
紀元前6世紀の【娼婦詩人】ビリチス。古代社会で娼婦は、美神アフロディテに美貌を捧げる役割を担っていたという。20世紀始め、彼女の詩篇が墓から発掘されたという設定でフランスの詩人ピエール・ルイスが書いた官能的な詩に、アール・デコの天才画家ジョルジョ・バルビエの挿絵をつけた『チビリスの歌』をコレクターの鹿島茂氏が再現。ルイスの詩は永井荷風らの訳で以前から日本に紹介されていたが、125部しか作られなかったバルビエの挿絵付きで紹介されたのは本書が初めてだという。多色刷り木版で刷られた絵は妖しい美しさを放っている。
2015/08/19
安南
序文には「古代ギリシャの女流詩人サッフォーと同時代に生きた娼婦詩人ビリチスが残した詩篇を翻訳」とあるが、純然たるピエール ルイスの創作。当初は騙された読者も多かったらしい。ただしこちら、詩篇は要約のみで挿絵がメインの画集。華奢な肩、繊細な指先、女体の優美な線は艶かしさと甘やかさが匂い立ち、正統で破綻のない完璧さを持ちながら、淫靡な夢をも見せてくれる。トラディショナルであり、誰にも真似のできないバルビエだけのモダンさ、それは今も古びていない。素晴らしいコレクション。鹿島先生に感謝。
2014/10/31
yn1951jp
素晴らしい大人の絵本!バルビエがピエール・ルイスに啓発され「ギリシャ趣味とラテン的逸楽」への憧れを見事に表現。第1次世界大戦後の1922年にこんな美しい画本ができていたことが信じられない。FL・シュミットという木版画家がレイアウトや装丁も含めてすべて手仕事で限定125部を作成したという。サッフォーと同時代の娼婦ビリティスの少女時代から死に至るまでの詩篇が19世紀になって発見、という設定のピエール・ルイス散文詩集(1894)の画本。お話しが要約なので、生田耕作訳詩+バルビエ画本ができれば最高。
2014/12/07
カコ
練馬のバルビエ・ラブルール展で一目惚れして探し回ってようやく買えた一冊。定価の2倍以上になってたけど、バルビエだからしかたない。惚れた弱みという奴か。内容は2倍の金額を払っても満足。展覧会カタログよりも白い肌の綺麗さが良く出ていると思う。また、挿絵を抜粋するだけでなく、挿絵と文章のレイアウトをそのまま残しておいてくれているところが素晴らしい。本文は挿絵ページにある分しかないので、本文が読みたい人には向いていないけれど、バルビエの絵を楽しみたい人は是非!
2012/09/06
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