十八番の噺ー落語家が愛でる噺の話
十八番の噺ー落語家が愛でる噺の話 / 感想・レビュー
Kei
落語the movieのファンです。小難しいことを排除、実写化に徹しているのがいい。十八番、皆が自分が決めるものではないと言いながらも、好きな噺を語る。噺の分析、演者の語り方、工夫。噺そのものを語りながら、落語家本人を語ることになります。個人的には、飛行機内で聞く落語が好き。なるほど、って一人ガッテンしたり、心地好くて、眠っちゃったり。本になると、理屈っぽくなりますが、それも、たまには、良し!です。
2017/12/05
姉勤
タイトルに反し自分の得意な噺という紹介はない。落語家になる前から好きな、大事にしている、未だに固まらず、変え続けていく「演目」を自身が解説。表題の5人の真打と若手二つ目数名のインタビューに、演目のあらすじを。誰でもやる落語ゆえに、工夫した点、自分らしさ、人(にん)に合っているか、伝統と変化の中の二律背反のジレンマを語る。もう名を知られた師匠達による、自身の師匠や先達からのアドバイスが、落語を聴いていて感じる心象に腑に落ちるテコ入れとなっていて、個人的にフックする。
2019/01/13
道楽モン
同時代に生きる噺家さんは、落語愛好家にとって共に生きる同志的存在だ。時代感覚も価値観も共有する噺家が、前座、二つ目、真打ち、大看板へと成長する姿を目撃できるのだから。勿論、上の世代である噺家だって大好きだ。馬生、志ん朝、談志、小三治…。十代後半に寄席に通っていた時期、寄席を支えていた権太郎、さん喬、川柳は、我が同世代の師匠連。当時前座だった、喬太郎、白鳥、昇太、正蔵、(立川流だと)志らく、談春、このあたりが同世代。芸談なぞ大看板になってからで良い。5年前、還暦手前での彼らの現在地がこの本に記録されている。
2023/12/02
nbhd
著者のひとり、瀧川鯉八さんに恋してしまっている部分がある。芸人愛、的な意味で。今年は神田松之丞さんが凄いなあと唸っていたのだけど、いまや鯉八さんのぶっ飛んだかんじのトリコになっている。創作落語「科学の子」、言葉にしづらいが、スットンといった趣がある。哲学者ベンヤミンが言う、神話的暴力=松之丞さん、神的暴力=鯉八さん、といった理解のカテゴリーが、我ながらウザいけど、しっくり来る。スットン。
2018/11/18
imagine
噺家がそう簡単に自分の十八番について語るとは思えなくて、逆に気になった本。案の定、つかみどころの難しい滑り出し。が、そこから各人が芸談に入り込んで行く様はスリリング。それぞれにマッチングされた聞き手、構成者が良い仕事をしている。立川生志の『柳田格之進』、滝川鯉八『科学の子』をぜひ聴いてみたい。
2018/11/09
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