読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」
読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」 / 感想・レビュー
roughfractus02
作者に大学で教わった作家が作者の作品、手紙、タイプ原稿から創作に関する逸話を取り出して37章にまとめた本書は、読者の着眼点次第で、創作講座、自伝エッセイ、紙上での作者と弟子の対話のように読める。興味深いのは、テーマへの強い思いが書くことを継続するモチーフになると言う作者自身が、悲惨な体験を作品化するまで長い曲折を経て、笑いにくるんでやっと形にしたという点だ。それゆえ作者は、作家は多様な形式を施した小説を読む読者に憐れみを持つべきだと言い、本書の言葉を読む読者には、読むことも難しい技術なのだと言外から囁く。
2023/07/10
maimai
副題やオビから連想されるような「創作指南」や「文章読本」の要素よりは、むしろ「ヴォネガット名言集〈小説論編〉」といった趣きが強い。ヴォネガットのファンにはお薦めだが、作家志望の人々の参考にはあまりならないように思う。もちろん僕は堪能した。ただ、読者の間では有名な文章やフレーズ、あるいは作中の固有名詞の表記を、既訳を参照せずに変更するのいかがなものか、とは思った(「オヘア」→「オウヘア」、「そういうものだ」→「そんなものだ」など)。
2022/07/15
ギンテマリン
600ページある大著なのに、スラスラ読めて、面白かった。ヴォネガットって、優しい人だったんだなあ。作家志望の人にも、また小説を読む人に対しても、彼が憐れみを持って言葉を発していることがわかる本。
2024/11/17
iwtn_
タイトルの通りの内容。一応、著者はカートではない。ハヤカワの文庫を大体と河出の短編集を2つ程読んでいたし、最近は仕事でも文章を書くことが増えたので、いつか読んでやろうと思っていたのを購入。まずは自分が興味を持てる対象を見つけることが大事とのことだが、それは既に身についていると思えたので、過去の読書の賜物か。引用や余白が多いので、本のサイズにしてはスラスラ読み進んだ。とはいえ、丸一日は使ったけど。エッセイには手を出していなかった作家だが、このご時世を考えるとそちらも読んでみるのも良さそうと思えた。
2024/01/05
種蔵珪也
文章読むのは高等技術なので読者を憐れんでわかりやすく書こう、がタイトル。 収入のところは文章書く人間だけでなく俗に言う芸術系で自分の生活費稼ぐのが難しいと思ってる人は全員読んだ方がいい。
2023/01/29
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