殺人者の街角 (論創海外ミステリ 20)
殺人者の街角 (論創海外ミステリ 20) / 感想・レビュー
翠埜もぐら
短編のキャンピオンシリーズは、どちらかと言えばほのぼの形ですが、今作はしょっぱなから暗く寒く。推理小説ではなくクライムサスペンス。序盤から犯人は開示され包囲網は狭まりつつあり、完璧なアリバイ作りに固執した挙句自滅するわけですが、ポリーおばさんと犯人の関係とやり取りがなんか切ない。犯人はサイコパスなので良心の呵責も躊躇もないけれど、ポリーおばさんも多分「愛している」と思い込んでいるものに対する執着だって気づいてないよね。旦那さんの形見の悪趣味なコレクションに抱く気持ちと一緒なのに。それはそれで気持ち悪い。
2023/10/24
紅はこべ
キャンピオンももう五十代。探偵というより事件の立会人という感じ。金銭のために冷酷に犯罪を重ねる男と、彼に母親代わりの愛情を注ぐ老婦人。犯罪者と彼を愛する者の心理描写が本作の眼目か。犯罪者が拒み続けた愛情が、土壇場で彼を滅ぼすことになるのです。
2009/01/24
bapaksejahtera
アリンガム作品で「検屍官の領分」に続く読了。本編は上記同様ややコミカルな作品で読み易い。主人公とされる素人探偵の位置づけが不明だが、有閑階級に属する探偵の超人的謎解きではない為、読むのに抵抗がなかった。明朗快活な印象をよそに殺人を続け、被害者の財貨を窃取する殺人鬼が主人公。描かれる殺人は数件だが、実際は10件に及ぶサイコパス。犯人には少年時代から親身に彼を遇する老婆がいる。彼女は夫の残した様々な装飾品を、独りよがりに珍品として展示する。訪れた老婆の親戚の娘とその男友達が話を彩り、男の犯罪の露見までを描く。
2024/04/08
syachi
面白かったなー。視点が変わりつつもある流れにはそっていて、最後には追い詰められた殺人鬼のガタガタな心情が。ただちょっとシンプルにまとめられていてアクの強さとかはあんまりなかったかな。
2015/04/04
J・P・フリーマン
目的は金。手段は殺人。過去に何度も殺人を犯してきた犯人が今度ばかりは運に見放され、警察に追い詰められていく。とうとうどうしようもなくなって犯人が最後にとった行動が、人間の情にあふれていてよかった。
2015/10/19
感想・レビューをもっと見る