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儀式

儀式

儀式

作家
セース・ノーテボーム
松永美穂
出版社
論創社
発売日
2017-06-05
ISBN
9784846015640
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儀式 / 感想・レビュー

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内島菫

確かに孤独であるとか世界の終わりを嗅ぎ取るとか、私自身が共感できることやそれ以上のことも書かれているが、どこか雑な印象を受けるのはなぜだろうか。本書だけでなく時々外国の小説に感じる「目の粗さ」は、すべてを網羅的に把握したいという西洋的な欲望の副作用なのだろうか。が、しかしそれは、私が文学に対して不当に偏った個人的な要求をしているせいでもあるだろう。ただ、こうした読者の読みによる無数の作品の再生成を促進する作品であることは確かだ、おそらく特に日本人にとっては。

2017/08/09

星落秋風五丈原

途中で日本色ががーっと出てきてびっくり

2017/07/26

きゅー

1950~70年代のオランダが舞台。アーノルド・ターズと彼の息子フィリップの物語。タイトルに『儀式』とあるが、彼らはそれぞれ自分だけの儀式を持っている。アーノルドは時間の厳密な管理と哲学、フィリップは禅に代表される無の境地と日本美術。そして二人とも方向性は違うが、世界に背を向け、さらに悪いことに自分自身からも逃れようとしている。彼らの墜ちてゆく姿が、高度成長期のオランダの世相との対比で物悲しさを反響させている。

2018/04/24

qoop

強迫観念に基づく行動様式を儀式として捉える一方、カトリックや茶の湯の儀式から意味を抜き取り解体することで、宗教、美意識、規範など、人生を意味付ける共通了解の土台を問い直す。他者を必要としないほど自己内で確立された儀式はある種の狂気なのか。他者との共通了解に基づく儀式を理解できない者は狂人なのか。人生の崩壊/終焉/完成により行われる自殺(と自殺未遂)を儀式の遂行として綴る点、狂気に至る思考実験のようだが、むしろその先をこそ読まねばならないのだろう。読み切れない感が残った。

2017/10/03

刳森伸一

世間に背を向き、自分自身の生活を儀式化して生きる二人の男を、俗世間で生きる語り手の視点で描く思弁的な小説。父のアーノルドは厳格な時間割に則した生活を、息子のフィリップは禅や茶道をモチーフにした隠遁的生活を儀式として熟す。フィリップのオリエンタリズムを感じる思想は少々興覚めだが、別様の生き方しかできない人の孤独な魂と狂気、救いようのない人生と折り合いをつける唯一の方法が生活の儀式化であった人の苦しみと悲しみには、目をそらすことのできない力がある。

2020/11/21

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