佐左木俊郎探偵小説選 II (論創ミステリ叢書 125)
佐左木俊郎探偵小説選 II (論創ミステリ叢書 125) / 感想・レビュー
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大正から昭和にかけての探偵小説が好きだ。モダニズム華やかなりし時代の空気感を、存分に味わえるから。しかし、佐左木俊郎は異色。モダン探偵小説を光とすれば、佐左木の作風はまさに影。この時代固有の暗い世相が、行間に滲み出ている。社会主義に傾倒し、農民小説作家として文芸誌を活躍の場としたためだろうか。探偵小説に手をそめたのは、早逝前の数年間のみ。扱うテーマも、貧苦ゆえの犯罪を扱った物が多い。罪の責任を、社会の不合理に帰する作品も散見される。青空文庫に収録多し。まずは、壊れ具合が絶妙な『猟奇の街』辺りがお勧めだ。
2022/01/07
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