人文的、あまりに人文的
人文的、あまりに人文的 / 感想・レビュー
ころこ
紹介されている本はディープで会話は軽い、恐らく実際に対話していない両者が書く一体化した別人格の様な絶妙な間合いが心地よい本です。毎回紹介されている2冊の本に基本情報と書影があり、触手が伸びます。科学に関する本もあり、科学の問題を解く鍵こそが人文学にあるという二人の独特の立場が反映されています。「フーコーの仕事は、学問というよりは批評に近いかも知れない。問いをつくりだしたり、考え方を提示して、読者のものの見方に変化を起こすような。」この様な言葉の定義や評価が意外と率直に書かれており、参考になります。
2021/01/24
zirou1984
同年代の著者二人が毎回テーマに合った人文書2冊を対談形式で取り上げるゆるふわブックガイド。取り上げられるのは古典から現代科学まで幅広くも、その語り口はあくまでも柔らか。個人的に家庭と仕事に追われ、20代の頃のようにゴリゴリと人文書を読み進めなくなってしまった身としては非常に有り難く、有益に読めてしまった。昔読んだジョン・サール『マインド』ってお二人が訳されていたことを知ってびっくり。紹介された中で一番読みたいのはやはりモンテーニュ『エセー』であり、自分も日常をエッセイの精神で生きたいと日々思うばかりです。
2021/03/21
羊山羊
人文者のためのブックリスト。濃い本も多くて唸らされた。ちょっと「エセー」とか読んでみたくなった。 本著中で具体的に役立ちそうなものだったら「啓蒙思想2.0」と「アイデア大全」は注目。 ただ、自分自身が人文学への興味を失いつつあることを如実に実感しながらの読書になってちょっとつらい体験でした。
2023/03/15
ほし
2人の筆者による、対話形式の人文書紹介本。様々なテーマに基づいた人文書が語られているのですが、話し口は軽く楽しげで、ハードな人文書でもなんだか身近に感じられます。紹介されている本が読みたくなるのは勿論、2人がお互いをリスペクトしながら親しみを持って会話している雰囲気が素敵で、その関係性が羨ましくなりました。「あの人文書、いいよね」と語り合える存在がいるのって、良いですね!
2021/02/21
gorgeanalogue
本書のおかげで読みたくなった本。リベット『マインド・タイム』、ブレイエ『初期ストア派における非物体的なものの理論』、千葉『勉強の哲学』、松村『うしろめたさの人類学』、信原『情動の哲学入門』、スローマンほか『知ってるつもり』。最後の本に絡めて山本氏は「生態学的な知能」に触れている。思えば、この本の全体的なトーンはこれをめぐっているとも言えるし、対談書評という形式がそのようなものだろう。友人と気軽に会って、本の話をできない状況ではあるが、「生態学的な場」を自分で作っていかないとまずい、と思ったことだった。
2021/07/28
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