柄谷行人初期論文集
柄谷行人初期論文集 / 感想・レビュー
罵q
冒頭の「思想はいかに可能か」が尤も印象に残った。モデリングを描いた上で自分はどうするか、と問いを織り込むのが構成として良いと思った
2018/10/21
ken
黒人作家ボールドウィンの話は何度も読んでみたい。個人的な「憎悪絶望」なら抗議小説でも書いて法的権利を求めるのだろうがそうはせずに彼は非常なまでに現実に根づいた<関係>を透視しようとする。それも主人―奴隷といったヨーロッパ的で抽象的な対立ではない。遅れてきた移民たちは新大陸とくに南部に家族的共同体を形成せざるを得ない事情がある。その中核には<性>があり、ここを舞台に白人も黒人も深く関わった。「愛の力、愛の悶え、愛の恐怖」をかかえたニグロの歴史は「恥辱のみならずひとつの偉業であった」とボールドウィンはいう。
2013/09/02
ra0_0in
「『アレキサンドリア・カルテット』の弁証法」のみ読んだ。修論としては凄いが、いかんせん形式的すぎる論稿でもある。が、柄谷の文学観においてキーとなる「ロマンティック・イロニー」の問題が、ヘーゲル的な弁証法の問題と重ねられ、ダレルの作品読解を通じて体得されたことが分かる貴重な論稿。「あとがき」によれば、口頭試問で大橋健三郎が「君の論では、ダレルは凄い作家のように思える」と皮肉(?)を述べたのに対し、「こいつはどうしようもない作家だ」とまくしたてたそうだが、柄谷批評はまさにダレル的な構築性への批判として始まる。
2013/06/22
aquirax_k
マクベス論が入ってるのってこれでしたっけ?アレキサンドリアカルテットについて書かれていたのは覚えている。
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