原っぱと遊園地: 建築にとってその場の質とは何か
原っぱと遊園地: 建築にとってその場の質とは何か / 感想・レビュー
Koki Miyachi
2004年の本だから少し古い。今や押しも押される建築家として評価される青木淳氏の建築論というか、自分の建築観を率直に語っている書。建築家が、頭の中の思考や発想の原点をストレートに語っている点において稀有な一冊ではないだろうか。その思考は実に独創的で刺激的だ。青木氏の磯崎アトリエ在籍時に、アルバイトとしてお世話になったことがあるが、実に素晴らしい人格者でもある。
2021/04/10
ひばりん
個人的座右の書。遊園地のように利用者の行動を計画しつくした建築よりも、原っぱのように「ここで何をしよう」と思ってもらえる建築を設計したいという建築家の意思表明の書。そうした姿勢は、とりわけ筆者の美術館建築において貫徹されているが、社会設計・制度設計からデザインにいたるまで、あらゆるジャンルに適応できる考え方であろう。
takao
ふむ
2022/05/29
チャーリー
本の題名にもなっている「原っぱと遊園地」という文章を最初に読んだのは高校生の時だったと思う。模試の題材に使われていたのだ。「原っぱ」というそれ自体は何の明確な機能も想定してない空間と、「遊園地」というある目的のために目的合理的につくられた空間。この本では青木が建築という「つくる」ことによって「原っぱ」をいかにつくっていくか、その建築的格闘が青木自身の言葉で繰り返し述べられている。「空間が先回りして住む人の行為や感覚を拘束する」ことを青木は徹底的に避けようとする。そしてコンテキストにうまく適応する建築を生み
2016/10/08
doji
場所の用途が用意されている遊園地と、余白のある原っぱというたとえから、どんどんひとと場所のインタラクションの質や、そこで生まれる意味について考え続けていく。物理的に巨大なものというだけでなく、場所性や意味性、そきてそこの歴史的文脈や景観における関係性など、あらゆることがらによって変質していく建築の意味について考察する著者の視点が、とても丁寧で鋭い。震災についての章で、そういった考え方になった理由が納得できた。
2020/02/19
感想・レビューをもっと見る