影の縫製機
影の縫製機 / 感想・レビュー
❁かな❁
お気に入りさんの感想より読んでみました*ミヒャエル・エンデ×ビネッテ・シュレーダーの作品。エンデは『モモ』や『はてしない物語』で有名ですが未読です。絶頂期に書かれた詩。エンデの言葉、シュレーダーの絵によってこの不思議な世界にすぐ惹き込まれていく。静寂を感じる非現実的な世界観。シュールでシリアスで時には深い思いも感じるのもあったりして色んな詩を堪能できます!この作品のモノクロの所も紙質がザラっとしてるのも素敵♡特に心に残ったのは「道標」「透明人間」「影の縫製機」「綱渡り」。不思議で素晴らしい大人の作品*
2015/08/19
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
ミヒャエル・エンデの詩とビネッテ・シュレーダーの絵が創り出すシュールな世界。林檎を巡る哲学的な考察?『本当の林檎』で幕があき、不可思議なスケッチのような『道標』、愛してくれる人がいないため身体が見えなくなっていく『透明人間』のようなショートショートのような詩もある。まさに奇妙な味のおもちゃ箱。お気に入りは孤高の天才の孤独の詩『綱渡り』。モノクロの線画で描かれた絵は、ゴーリーを思わせるものあり、ダークな『星の王子さま』といった趣きのものあり、実に多彩。
2016/08/02
めしいらず
ここでは、彼岸と此岸が、覚醒と昏睡が、意識と無意識が、曖昧に交じり合い反転する。エンデの詩とシュレーダーの絵の中に、相半ばする背徳的な美しさと蠱惑的な心細さを見、心惹き付けられる。真理に近づこうとするほど遠ざかる。愛を欲するほど疎まれる。己が用意した人生の陥穽に、自ずから嵌り込む矛盾。「本当の林檎」「道標」「透明人間」「影の縫製機」「綱渡り」が好き。中でもやはり表題作か。彼岸と此岸の境界。砂丘に伸びる長い影法師を、しっかりとスカートに縫い付けて、今生への家路に就く女たち。その磨き抜かれた言葉と絵の美しさ。
2015/07/27
雪うさぎ
林檎をかじったせいで夢を見ているのだろうか。夢の中では常識という道標など役に立たない。魔法の杖を地面に立てて、その影を追っていくしかないのだ。しかし影は刻々と変化していき捉えることはできない。影自身は実体のあるものではないが、実体がある証でもあるのだ。夢もまた同じことなのか。宇宙にはダークマターのように、目には見えないけど確かに存在するものがある。私自身も人の形をした仮面を被っているだけで、中身は空っぽなのかもしれない。見えないものを見るために、私は再び目を閉じる。本当の物語は、夢の中でこれから始まる。
2015/09/26
とよぽん
分類941だった。絵も素晴らしいのだが・・・。ミヒャエル・エンデの詩集絵本。「道標」「透明人間」「閉幕」が特に印象に残った。作者名を知らずに読んだら、ゴーリーの作品かと思ってしまうほど、吹く風が似ている気がした。
2023/01/27
感想・レビューをもっと見る