幻想と怪奇の英文学
幻想と怪奇の英文学 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
芥川、ハーディ、ボーエン、ワイルド、イシグロなど読んだ作品も多かったので記憶を頼りにして「あの記述はこういう視点もできたのか!」と面白く、読めました。「美しき吸血鬼」の章で『吸血鬼ハンターD』は取り上げられているのに『トリ二ティ・ブラッド』は取り上げられていないのは時代なのか、後者の吸血鬼化が血液桿状型寄生異性体、バチルスによるもので、それを捕食するクルースニクが上位にいる(吸血鬼の血を吸う者がいる)という設定が原因なのか?最後のブックガイドや執筆者紹介、東雅夫氏と下楠昌哉氏との対談も楽しかったです。
2014/08/16
HANA
英国の幻想と怪奇に特化した論文集。英文学の日本文学に与えた影響や、アマゾンやマーリンの変遷、ゴシックを論じた次はクローンや幽霊とどこを切り取っても興味を抱かない部分はないような一冊であった。というかこの題で須永朝彦論を読めるとは思わなかったなあ。個人的に興味があるゴシックは「森のカハル」とその作者の事が取り上げられていてこれまた嬉しい。東雅夫さんの手が加わっていることもあり、書誌やメールインタビューのお勧めの三冊とか初心者にもとっつきやすい造りになっていてこれまた嬉しい。ああ、また読みたい本が増えていく。
2014/07/11
スターライト
怪奇幻想文学の視点から、英文学を読み直す論考を収めた書。「論考」というと何やら難しい印象を与えるが、巻末のメールインタビューにあるように、筆者らは幼少期に怪奇幻想文学の影響を受けており、また各論も短いので読みやすい。それぞれの視点も鋭く、「ここではないどこか」から「まさに今ここ」が恐怖の対象になるとの指摘には、思わず唸ってしまった。ブックガイドもあるので、本書からさらに深みに分け入ろうと思うものには、まさに至れり尽くせりの感。興味のある方は、ぜひ。
2015/03/11
渋江照彦
一日一本から二本位を目安にゆっくり読んでいました。こういう学術系の本は読んでいて楽しいですし、何より考えるヒントを沢山貰えるので有難いです。個人的には下楠昌哉先生の須永朝彦に関する論稿と、大沼由布先生のアマゾン族に関する論稿、桃尾美佳先生のエリザベス・ボウエンに関する論稿が興味深かったです。巻末の対談や関連著作の紹介も充実していると思いました。
2014/05/03
fantamys
芥川、吸血鬼の美、アマゾネスとマーリンの表象史、消えたり現れたりする幽霊たち、シェイクスピア、アイルランド、生き人形、東洋、etc...幻想文学好きには必読でもいいんじゃないかと思えるぐらいめちゃくちゃ面白かった。
2021/08/29
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