[新釈]罪と罰ーースヴィドリガイロフの死
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[新釈]罪と罰ーースヴィドリガイロフの死 / 感想・レビュー
Ayumi Katayama
ラスコーリニコフが金貸しの老婆とその妹を殺害する。ドストエフスキーの『罪と罰』はそんな小説である。そして本書も小説である。だが、この本はラスコーリニコフが主人公ではない? 主人公はザミョートフ。ザミョートフ? 誰? 創作? いや、違う。ドストエフスキーの『罪と罰』にも登場する。これは。本書はザミョートフから見た『罪と罰』。そしてドストエフスキー論でもある。久しぶりに触れる『罪と罰』。懐かしい。そうだ。30年ぶりにラスコーリニコフに会いに行こう。
2018/09/20
ごる
新釈の名の通り、罪と罰を別の角度から描いた作品。作者の言はドストエフスキー論を射程に置きながらも、小説としても、原典と併せても読めば3度楽しめるという。今回は小説として読んだが確かにおもしろい。罪と罰、もう一回読んでみようかな。
2009/10/27
yonemy
ドストエフスキーの「罪と罰」はちょいとかじったくらいだが、こちらは旅気分で完読できた。白夜が続くペテルブルクの夏は、カスピ海や運河がもたらす湿気や臭いに包まれている。人々は古い貴族の館を小さく区切った部屋に貧しく暮らし、酒場でウオッカ片手に騒ぎ、また朝が来る。作中、主人公らしいザミョートフはほとんど寝ていないが、白夜は眠りを妨げるのか?どの登場人物も大真面目なのだが精神が不健全な感じを受けるのは、睡眠不足と酒の飲み過ぎのせいか?ロシア文学面白い☆今に至るロシアを知りたくなりました。
2022/01/17
小野靖貴
再び味わう罪と罰。「いちご同盟」で著名な作者が還暦を迎え、書かずには死ねぬと漸く書いた新解釈罪と罰。原作のような濃厚でまるで世界に没入していくような感はないが、日本の読者に読みやすいように翻訳調でない自然な文章に、細かなロシアの風潮や聖書的知識の説明が随所に入っており、なかなか楽しい。第三者からみたラスコーリニコフやスヴィトリガイロフは妖しくもやはり魅力的。多くの登場人物の個性を殺さず、原作を分かりやすく見せているという点が魅力かと。
2014/11/04
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