岡本綺堂探偵小説全集 第一巻 明治三十六年~大正四年
岡本綺堂探偵小説全集 第一巻 明治三十六年~大正四年 / 感想・レビュー
HANA
黒岩涙香を彷彿とさせる翻案がほとんどを占めていた。基本的に活劇浪漫、冒険小説。一番面白く読めたのは「金貨」、殺された老女とその遺産を巡って敵味方入れ替わり立ち代りする群像劇。容疑者を見逃したりそれはちょっとどうだろうという要素が多いのもご愛嬌。他にも田舎の因習と対立とトンデモトリックが光る「風の夜」や「ラパチーニの娘」の翻案と聞いてそのつもりで読んでいたら、後半大暴走を始める「魔女の恋」等現在ではとても見えないような作品が多く、いかにも明治といった趣。岡本綺堂≒しみじみした話という概念を塗り替えられた。
2012/06/26
おばけりんご
岡本綺堂さんと言えば半七補物帖だったのですが、探偵物も描かれていたんですね。活躍した時代を反映しているせいか、選出されている話の数々に翻訳物の雰囲気が色濃く残っています。現在の翻訳物を読んでいると、その時代特有の翻訳があって少し読みづらいところもありますが、それも仕方ないと思います。個人的に一番面白かったのは「白猫」でした。活劇要素が多くて結末がどっちにいくのかハラハラしたのは「金貨」でした。岡本綺堂さんと言えば心中もののイメージがあったのでそれがくつがえって興味深かったです。
2012/09/15
mnagami
月村了衛も愛読しているという一冊。話の展開が二転三転する作品が多く、ボリュームがあるわりには飽きさせない作品が多かった。こういうのが当時はエンタメとかいわれたのかもと想像させる作品。
2015/07/05
いちはじめ
半七捕物帳などの時代小説での印象が強いが、その半七を書いたいきさつを記した随筆で、ホームズを原書で読んだことをあげているくらいだから、ミステリの翻案を手がけていても不思議ではない。綺堂の文章自体は悪くはないのだが、この時代の作品は、今読むとかなり退屈というか、筋立てがいきあたりばったりな印象を受ける
2013/01/14
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