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虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉

虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉

虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉

作家
藤田直哉
出版社
作品社
発売日
2013-01-31
ISBN
9784861824241
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虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉 / 感想・レビュー

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harass

レビュで気になり読み出す。初読の批評家の評論。筒井の作品やエッセイや対談はほとんど読んでいる自分には、筒井の凄みは十二分に知っているので、なにを今更と思いつつ読んでいった。さて、そこから著者は何が言いたいのかと、期待しつつ読んでいって、最終章。うーむ…… 大雑把な試論とはわかっているが、さほど感銘は感じない。個人的にネット界隈の問題に興味がないというのがあるので…… 評論ってなんだろうという根源的な疑問がグルグル回っている。筒井のブックガイドとしてなら優秀かもしれないが、作品を直接読めよという気持ちも。

2017/02/28

サイバーパンツ

ハイパーリアル的な「超虚構理論」。それを前提とした、虚構を必要とせざるをえない我々の性「虚構内存在」。鋭い問題意識を、メタ化・パラ化し、笑いへと昇華する筒井康隆。本書の主な内容は、筒井康隆が生み出した「虚構内存在」という概念を中心として、上記のような筒井思想を紐解いていくというもの。私は本書を読んで、筒井康隆への認識が大きく変わった。本当、彼の頭の良さを甘く見ていた自分を、恥ずばかりだ。最後に、著者はこの筒井論を基に、現代を読み解こうとしているが、本書ではまだ触り程度なので、それはこれからに期待したい。

2016/08/20

梟をめぐる読書

「一〇年代」を担う評論の書き手として最も期待している文芸評論家の、初となる単著。筒井康隆のデビューから「断筆宣言」に至るまでの期間における「虚構内存在」という概念の誕生と発展の経緯がうまく纏められている。一般に「虚構内存在」というテーマは『虚人たち』という一作に集約されているように思われがちだが、その前後の期間も含めてこれほどの拡がりを獲得できるものだったとは。ただし「断筆宣言」までを範囲とするだけでは「いま、なぜ筒井康隆なのか」という著者自身が設定した冒頭のテーマに応えきれていない気もした。

2017/06/27

しんかい32

筒井作品にある時期から出てくる知的ジャーゴン、ぼくは筒井ってけっこうミーハーなんだなくらいの感じでしか受け止めていなかったのだが、同書はそれらの連関をきちんと追い、その裏に筒井の真摯な思想的苦闘と発展があることを明らかにしている。作中人物の死について、筒井がこんな発想にたどり着いていたなんて全く気付いてなかったぞ。

2013/07/21

静かな生活

私見によるが「ゼロ年代」的なものの最後の息吹はこれだと思う。2014年あたりから「あの頃」の若い批評家たちは純粋な社会思想へと舵を切り「オタクとネット」は歴史の海へと消えていった…。その予感と虚構/オタク/ネットの価値を問うているが、どうだろう、何かを掴めているようでギリギリ掴み切れていないというか。ゼロ年代文脈を捨象したことには成功しているが、戦後SFに的を絞ることで読者層をある程度制限している。

2020/05/18

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