黄泉の河にて
黄泉の河にて / 感想・レビュー
りつこ
とても苦い後味。自分とは異質なものに対する畏れや反発。それが差別になったり嫌悪になったり恥ずかしさになったり暴力につながったりするのだが、それを感情を排した文章で、そこにあるものとして淡々と描かれる。救いのない物語が多いが、どれも静かで透明な印象。辛い…と思いながら読んだが情景が頭にこびりついて離れないものもあり、時間がたつとまた感想が変わりそうな気がする。東江さんの翻訳に惹かれて読んだのだが読んで良かった。
2016/02/16
erierif
『流れ人』はブニュエルの映画『若い娘』の原作だそうで殺気のただよう緊張感に圧倒された。簡潔な描写と終わり方で、死、病、偏見、卑しさ、愚かさ、暴力…普段目をそらしている事を明確にした。しかし著者が禅僧でもあったからだろうか、暗黒の世界を描きながらもどこか透明感があり「ただそこにある」事として描かれているのでとても心に残った。『季節はずれ』はハイスミスの『すっぽん』を思い出した。『アギラの狼』『薄墨色の夜明け』が好き。東江さんの的確でキレのある訳がこの作品を際立たせていた。
2015/02/05
hirayama46
はじめてのピーター・マシーセン。黒人差別の横行する田舎を描いた作品が多く、雰囲気としてはアメリカ南部の作家に近いものがあるかな。全体的にじっとりとした熱気がありますね。味わい深い短編集でした。
2016/01/19
よもぎ
凄惨な話が多いのに、どこか浮世離れして美しい印象……山家五位(さんかのごい)、沢鵟(ちゅうひ)、覇王樹鷦鷯(サボテンみそさざい)とか、想像することもできない鳥の名前がお伽噺っぽくてよかった。 歴史の授業で人種差別があったと習っていても、当時の人々の思いを汲み取るのはむずかしい。ドキュメンタリーを見るより、フィクションで伝えてもらったほうがむしろ心に届くのではないかと思わされた。なんて書いてたら、似たようなことが訳者あとがきに書いてあった 笑。
2015/04/11
熊猫
どれも在りし日の1シーンを鋭く切り取っている。 言葉というものは本当に美しい。 ただ、純文は苦手なんだよねー。スマンスマン。
2014/10/03
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