偉大な罪人の生涯――続カラマーゾフの兄弟
偉大な罪人の生涯――続カラマーゾフの兄弟 / 感想・レビュー
シッダ@涅槃
文体が硬質で余計な装飾がなく好み。初め哲学的思弁の多い小説なのかと思っていたが、思った以上に会話劇で、分厚く文字もびっちりながら、引き込まれて読んだ。亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を読了した直後のためか、同じみのキャラたちが生き生きしているように思えた。◆参考にした原作訳書や文献を知りたかった(載ってない)。特にスメルジャコフが亀山版ではときに論理的な話し方もする不気味な存在だが、この本ではいかにも「下男」の話し方(「ドミトリーの旦那ぁ」)でだいぶ印象が違った。◆原作読んだ事があるひとにはオススメです。
2021/10/31
美東
あの「カラマーゾフの兄弟」続編ということで、とても畏れ多かったのだが、作者本人があとがきで「ドストエフスキーの霊がわが体内に降臨したかのように」と記しておられるように、少なくとも日本人の私にとっては説得力のある内容で、しかも緻密に構成されている。ただ、原作者のドストエフスキーの小説にある、読者には一見冗長とも思える「道化」~「カラ兄」でいえは父・フョードルのような~存在が実は魅力的なのだが、こういったキャラクターを創造するのは、原作者ご本人以外には至難の業であろう。
2016/05/21
感想・レビューをもっと見る