サミュエル・ジョンソンが怒っている
サミュエル・ジョンソンが怒っている / 感想・レビュー
ネギっ子gen
【形式も長さも雰囲気もまちまちの作品が50以上収められているところは前作『ほとんど記憶のない女』のスタイルを引きついでいるが、自由さ、軽やかさにおいてますますドライブがかかっているという印象を受ける。(訳者・岸本氏の解説)】問いの部分が空白で答えだけが並ぶQ&A、しゃっくりのたびに中断される口述筆記、悪文で書かれた偉人伝、淡々と繰り広げられる夫婦漫才など、56の短編。『春の鬱憤』:<ああうれしい、木の葉が芽吹いて大きくなっていく。もうじき隣人と、この女の泣きわめく子供の姿を視界から隠してくれるだろう>。⇒
2024/08/20
りつこ
面白い!やっぱり好きだな、リディアディヴイス。奇抜さが取り沙汰されるけど、この人の書くものには妙に身につまされるところがあって、そこがたまらない。古女房と仏頂面の夫婦漫才に笑い、甲状腺日記、ミセスイルンの日記に身につまされる。子供をもつ親には耳のいたい言葉もあり、禅問答のような言葉には真理がある。翻訳も冴えていて最高だ。
2015/11/05
ヨコツ
うわー、これは変!変で面白い!しかしこれが変といいながらも奇想とか幻想っていうんじゃなくて、しゃっくりを口述筆記してみたり、行間というか、行後の余韻を楽しむ一行にも満たない掌編を書いてみたりと、地に足がついた変というか、ものすごく身近さと現実感を伴った「変」なのだ。超超短編も含むとはいえ五十数作を収録した贅沢仕様なのだけれども、物語の長短や内容の硬軟が非常に心地よいテンポで移り変わってゆくので頁を捲る手が止まらない。内容的には女性的なのだけれど、文章が硬質でロジカルなので僕にも読み易かった。
2015/11/29
SIGERU
またしても、リディア・デイヴィスの話術の罠に嵌った自分がいる。例えば『変身』。「あり得ないことだが、それは起こった。この町で、ある娘が石になったのだ。たしかにその娘は元からふつうの娘とはちがっていた。彼女は木だったのだ」。不条理すら超越しており、もはや脱力するしかない語りの妙。これをカフカが読んだら、どう思うだろうか。自分の名作を侮辱された気がして、眉間に皺を寄せるのではないか。舌打ちして、そっぽを向きさえするかもしれない。こういう変な感想を書きたくなるのもきっと、デイヴィス読書の功徳なのだろう。
2022/04/02
かわうそ
枝葉を削ぎ落とした結果短いのではなくそもそもこの長さなのであろう。
2016/01/08
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