ねみみにみみず
ねみみにみみず / 感想・レビュー
ペグ
最初に東江さんの翻訳をマークしたのがたしか「ストーン シティ」。次に「ストリート キッズ」だった。なんとリズミカルでフットワークの軽い粋な会話の飛び交う小説なんだろうと一気にファンになり最後に読んだのが「ストーナー」と「黄泉の河にて」だった。東江さんの翻訳で、そのテーマやストーリーによって全く違う文体を愉しませていただいた。この本は親父ギャグ満載ながら自由闊達で語彙が豊富。惹句の(おもしろうてやがていとしきエッセイ集)とあるけどわたしは(おかしくてやがて寂しき親父ギャグ)としたい。勿体無いので少しずつ。
2018/05/27
Panzer Leader
「ストリート・キッズ」「犬の力」を読んだ時の流れるような文体の素晴らしさを忘れることが出来ない。その訳者のエッセイ集がまたこれほど面白いとは。豊富な語彙力に支えられた軽妙洒脱な駄洒落・ジョークは正に言葉の魔術師の名に恥じない。それでいて締め切りの苦しさ、翻訳者の真摯な矜持、後進への世話振りなども読み取れる。作者でなく彼が訳した本を読みたいと初めて思える稀有な翻訳者。
2018/10/28
ずっきん
翻訳小説は、文章の違和感も味わいつつ(目をつぶって)、ストーリーを楽しむもの。←これを覆したのが東江さんの「ストリート・キッズ」だった。本書はオヤジギャク満載で軽妙に語られてはいるけれど、原作に寄り添い、表現者として言葉と格闘していた姿が見える。ウィンズロウの"A Cool Breeze on the Underground"との出会いに胸を踊らせ、「犬の力」で、官能と韻律の作家と評す。それはそのまま東江さん訳の「ストリートキッズ」を読んだときのわたしの衝撃。心からありがとうございましたと感謝したい。→
2018/10/14
くたくた
全編、全力のだじゃれ。にカモフラージュされているけど、翻訳に注ぐ硬派な思いと周囲の同業者さんやお弟子さんへの愛にあふれた、東江さんのお人柄全開のエッセイ集。また、編集された越前敏弥さんの、東江さんへの愛もあふれている。後書きは思わず涙がほろり。翻訳業界の師弟関係も若干見えてきた。東江さんごめんなさい。リアルタイムで売り上げと印税に貢献できなくて。今後もできるだけ新本を買うように心がけます。目指せ、翻訳小説市場拡大!(そして、あのシリーズも、このシリーズも、中抜け未訳本や、続刊未訳の出版を希う。)
2021/03/06
ネギっ子gen
【「軽妙洒脱」がよく似合う本】稀代の名訳者・東江(あがりえ)が2014年に他界した4年後に出されたエッセイ&雑文。絶妙な題名に惹かれ発刊後ソッコー読んだが、今回ふと本書を思い出し再読。お薦めです!<あれっ、こんなことを書くつもりじゃなかったんだけど、ええい、知るもんか。乗りかけた船だ。海苔欠けた手巻き寿司だ。糊かけた洗濯物だ。軒掛けた干し柿だ。飲みかけたウィスキーだ。蚤駆けた不潔な寝床だ。能登書けた地理のテストだ。熨斗かけたお中元だ。はあ、はあ、息切れしてきたなあ>ってぇーのが、もうあちきは好物でげす。⇒
2024/05/08
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