加賀乙彦長篇小説全集 第一巻 フランドルの冬
加賀乙彦長篇小説全集 第一巻 フランドルの冬 / 感想・レビュー
ケイトKATE
本書は加賀乙彦の長編デビュー作である。フランス北部フランドル地方の精神病院で働く日本人医師コバヤシと、一緒に働く医師たちの物語であるが、心の病を抱えた患者との交流はあまり書いていない。書いているのは、1950年代のフランスの精神病院と医師の様子や、コバヤシと恋人のニコルとの恋愛のもつれ、戦争で心を病んでいる医師クルトンとの生と死をめぐる対話である。デビュー作であるためか、物語の構成に散漫なところがあって面白くなかった。個人的に、同じくフランスを舞台にした次作『荒地を旅する者たち』の方が優れていると思う。
2023/02/21
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