加賀乙彦長篇小説全集 第二巻 荒地を旅する者たち
加賀乙彦長篇小説全集 第二巻 荒地を旅する者たち / 感想・レビュー
ケイトKATE
素人目線になるが、パリに留学できるなんて羨ましく思ってしまうものだ。(舞台は1950年代後半のパリ。)ところが、精神科医の可知、ヴァイオリニストの萌子、画家の亮一などの登場人物達の心には、暗く鬱屈したものを抱えている。亮一にいたっては、狂気じみて精神病院に入院してしまう。ここで書かれているのは、パリであれ、言葉や文化が異なる場所で生きるとは、どうしても孤独や疎外感と向き合わざるを得ない。加賀乙彦が『荒地を旅する者たち』というタイトルを付けたのは、人間に異なる場所とは「荒地」にほかならないからである。
2023/01/27
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