加賀乙彦長篇小説全集 第六巻 錨のない船: 錨のない船 (第六巻)
加賀乙彦長篇小説全集 第六巻 錨のない船: 錨のない船 (第六巻) / 感想・レビュー
たまさぼ
主人公の外交官・来島平三郎は、日米開戦を避けるため、微かな希望に賭けて渡米する。妻・アリスは、日本陸軍のパイロットとなった息子の健に語りかける:「外交官の家は、そして国際結婚の家族は、錨のない船のように国から国へと漂っています」。しかしアメリカ出身の彼女自身は、日本に錨を下した船として夫を助け、日本人として生きようとする。人々が戦争によって引き裂かれる中、アイデンティティとは何か、人種や民族を超えた絆はありうるのかという問いに迫っていく物語。世界が再び戦争の悲劇を目の当たりにしている今、心に響く本でした。
2022/07/05
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