現代小説の方法 増補改訂版
現代小説の方法 増補改訂版 / 感想・レビュー
amanon
講演集ということでサクサク読めるが、しかし、スッと飲み込めるようなものでは決してない。著者自身、喋りが下手だと言っているように、流暢とは言い難い語りのうちに、表には現れてこない重層的な何かが潜んでいるように思われ、本来ならそこを注意深く読み込んでいく作業が必要ではないか?と思わされる。とりわけ興味深く思えたのは、やはり車についてのくだり。ネットやスマホの時代に、このような言述はどれだけの説得力を持つのか?しかし、この観点から小説を改めて論じることには意味があるのかも。未消化感強いので、再読が必要かも。
2022/11/20
読書メーターJr.
この人は物語の中に親と子のメタファーを感じられないと駄作と判断するんだろうか。移動がなければただの心理劇になるという考えは納得。人間はどこまでいっても肉体的だから創作において身体性は必要なんだろう。蛇や音のような定住できないものはワープして突然物語の中にやってこさせられるというのも、移動の観点から考えると興味深い。逆に机とか動かないものが急に現れても面白いけれど。用は無意識で理解している常識を利用せよということなのかな。正直難しくてほとんど斜め読みになってしまったけれど、得られるものはそれなりにあった。
2024/09/02
readerr
作家の思いがほとばしり、かと思うと聞き手が困惑するような深淵に入ってしまう、つまり、講演というより本人の素が現れた一人語りのようである。主人公は私生児であるべき、神聖な場所としての路地、神話的な仮母と言った言葉から、彼の凝縮していくエネルギーと世界観のあり場所が感じられる。現代の読者にこうした感覚がどのように受け取られるのだろう。かって、彼の小説を読んだ者としては、久しぶりに会って懐かしいというより、遠い昔という感じがするのだ。
2023/03/30
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