新海誠論
新海誠論 / 感想・レビュー
パトラッシュ
新海誠に関する批評が相次いでいるが、本書は他にない視点と補助線を提示する。『君の名は。』の口噛酒、『天気の子』の巫女、『すずめの戸締まり』の祝詞など日本の神事が絡むファクターを、彗星や異常気象や大地震など多くの犠牲者を出す天災と戦う武器に採用する点を「ニュータイプの日本浪漫派」と位置付ける。これにより「みんなを苦しませたくない」と頑張る主人公と災厄をアニミズム的に交錯させ、世界を美しく再構築する物語を導く。戦争や災害が相次ぐ現代において、心身とも傷ついた人びとの「つなぎなおし」が作品のカギと見ているのだ。
2023/01/07
きあら
「ほしのこえ」から「すずめの戸締まり」までの新海作品から、新海誠という人物を論じる本。論じている幅が広がりすぎて、あまり頭に入ってこない。そして主にその作品が作られた背景や思考が書かれているので、観ていない作品については話について行けない。
2023/01/14
のっち
美しい絵とストーリーが好きで主な作品は観てきたけど、細部に込められた思いとか、作品を越えた関連とか、そこまで深い理解はしていなかったな、と思った。日本古来からあるアニミズム的な感覚とデジタルに慣れ親しんだ現代的な感覚を上手く取り入れて表現を進化させてきた過程が解説されていて、なるほど、と思わされた。読み終わったすぐ後で、良かったポイントを上手く言語化できないのが悔しい。批判も次の作品へのヒントとしながら、観客にあぁ面白かっただけで終わらせないストーリーづくりや表現ができるってすごいなと改めて感じた。
2023/01/15
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