失われた時を求めて フランスコミック版 第1巻 コンブレー
失われた時を求めて フランスコミック版 第1巻 コンブレー / 感想・レビュー
かもめ通信
ストーリー自体は原作にかなり忠実。なるほど絵で表すならば、小説で事細かに描写されている風景や服装などの説明を省くことができるわけだ。そこここに寄り道するような枝葉をすべて切り落としてすっきりと筋を追っているわけだが、ある意味最も楽しく美しい部分がそぎ落とされてしまっているような印象も受ける。また風景や建物の描写はともかく登場人物の描き方、特に目がいずれも(・・)なのはいただけない。とりわけ幼い「私」があれほどお休みのキスを願ったママがとても貧相で思わず幻滅を覚えてしまった。
2017/01/29
内島菫
『失われた時を求めて』は、井上究一郎訳で全巻読んだことがあるので、訳者の解説にあったように、プルーストの『失われた時を求めて』の本質は味わえた。が、(日本的な意味での)マンガ作品としてみた場合、本作はあくまで『失われた時を求めて』の副読本の域を出ないと思われる。ステファヌ・ウエだけでなく、外国のコミックは、平面との接し方が明らかに日本と異なるため、日本人の私から見るとコマ割りが形式的にとどまっている印象で、言葉と絵が分離してしまっている。私ならこんな風にはマンガ化しない。いつか日本人がマンガ化しそうだが。
2016/07/23
tom
プルーストの文庫本3巻目をボツボツと読んでます。ここにきて、一巻目は何だったのよという疑問が出てきて、この本を発見。要するに、一巻目は、少年時代を回想して、あんなことがあった、こんなこともあったと、連想に連想を重ねた記憶の集積だったのです。なるほど、なるほど(笑)。訳者によれば、第一巻で挫折する人のための助けにするために訳出したとのこと。でもさ、この本を読んで、プルーストを読んでみようと思う人は、きっといないだろうなと思うのです。名著というけれど、不思議な本。ほんとうに面白くなるのかしら。
2019/07/02
timeturner
へえ、こんなことが書いてある本だったのか! 19世紀フランスの田舎の風景やブルジョア人士の暮らしぶりが視覚的にわかり、要所要所を切り取った原作の言葉を、映画の字幕をめざして翻訳した文章に助けられて、楽しんで読むことができた。簡潔だからこそより豊かなイメージと余韻が生まれるということもあるのだよ、とプルーストに言ってやりたい。この出版社からは次巻の『花咲く乙女たちのかげに1 海辺への旅』までしか出ていないとわかったので、続きは『スワン家のほうへ』が一冊にまとめられた祥伝社版を読むことにする。
2019/04/15
ごへいもち
有名な本だけどとてもとっつきにくそうで…コミックになっても難解
2010/06/21
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