ヒッチコック&メイキング・オブ・サイコ 改訂新装版
ヒッチコック&メイキング・オブ・サイコ 改訂新装版 / 感想・レビュー
蛸
「低予算の映画を有名監督が撮ったらどうなるのか?」という試みの元作られた『サイコ』は映画史を変革したが、出演者や監督自身の人生をも狂わせてしまった。ヒッチコックの個人的な思い入れの強かった前作『めまい』の失敗が『サイコ』を情念の薄い乾いたタッチの作品にしたという話が面白い。『サイコ』はアメリカ的なモラルへの挑戦的な側面(が強く、だからこそ後のホラー映画へ大きな影響を与えたのだろう。ヌーヴェルヴァーグ以降の人間としてはヒッチコックの評価が『サイコ』によってどのように変化したかについての記述も興味深かった。
2016/12/05
hiruhan
映画「ヒッチコック」の原作ということで、映画鑑賞後、読了。「あ、このネタ、劇中に使われていた」という小ネタ満載である。しかし、映画「ヒッチコック」をみるためには、むしろ過去のヒッチコック作品を見ていた方が楽しめる。本書は、ポスト「サイコ」の我々に、「サイコ」なる映画がどれほどインパクトを与えたのか、そして映画が変わったのかを教えてくれる。トイレを映しちゃダメ(実際に人が使用していなくても)なんて知らなかったよね。あと、押井守監督の「映画監督勝敗論」を通すとヒッチコックはどう位置づけられるのか知りたくなった
2013/04/22
ソノダケン
気が強そうなジャネット・リーだが、実は怖がりで、撮影現場でヒッチコックにいじめられた。衣装部屋に置かれた死体を見て発した絶叫で、一般観客の反応をテストしたり。例のシャワーシーンでヒッチは柄にもなく、「マリオンは罪悪を洗い流し、処女に生まれ変わる」などと演技指導している。映像技術を駆使する娯楽一本槍の作家とみなされがちで、実際そうなのだが、一方である種の「哲学」の様なものを表現してもいた。若い金髪女への崇拝的で偏執的な愛を。
2018/06/21
rinrin
【BOOK(2013)-147】!!!!!!
2013/05/31
MonoWaTameshi
トリュフォーによるインタビュー集『映画術』を読んでおけば十分と思いきや、やはり映画史的にエポックとなった作品は映画化の発端から公開後の反響まであらゆる側面が面白い。この本、原本は1990年の出版。『サイコ』公開からは30年、ヒッチコック没からも約10年といった時期で、関係者への直接インタビューということではギリギリか。本当によくこういう記録が残ったものだと感心する。しかし、権利の問題がどんどんややこしくなっていっているのだろうけれど、図版のない映画本はやっぱり寂しいな。
2013/05/09
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