近代日本奇想小説史 入門篇
近代日本奇想小説史 入門篇 / 感想・レビュー
HANA
英雄、科学、戦争、所謂小説をを日本が受容した時から、その中に様々なものを内包していたのだと思う。それは眉をしかめて読む文学史の上には決して現れてこないが、確かにもう一つの水流として存在している。本書はそのようなもう一つの文学史に焦点を当てた労作。読んだことのあるのは海野十三だけ、名前を知っているのは押川春浪や南洋一郎等一部だけな自分であるが、それでも所見の作家も懇切丁寧に解説してくれているので知識を吸収しながら面白く読める。特に興味を惹かれたのは押川春浪と中山忠直。やはり破天荒な方が面白いように思う。
2015/01/20
スターライト
『近代日本奇想小説史 明治篇』の抜粋かと思ったら、さにあらず。奇想小説についてあちこちに発表した小文を集成したもので、著者の関心の所在がわかるという意味では「入門篇」だし、大正・昭和時代まで筆が及んでいる点ではその予告篇となっている。日本人が発想したヴィジョン(といっても同工異曲も多々あるが)を垣間見る上で、参考になる。氏と同じ関心を持っている研究家もいるようだが、このようにまとめてほしい気もする。いやいや、氏には長生きしてもらって、大正・昭和篇を完結し、明治三大冒険雑誌についても研究書を出してほしい。
2012/05/05
春風
さまざまな媒体に発表された古典SF話を集めた本。執筆年代が40年近くにわたっているので文体の変化もまた興味深い。新たに書かれたあとがきなどがないのがちょっと心配。中山忠直(明治28年生)の章で、明治22年生まれの奥野他見男を下級生としているのは疑問。
2012/03/25
ジュンケイ
いつか読もうと思ってる『明治篇』の前にと読んだが、なかなか濃い内容。これのどこが『入門篇』なのだ。最後に記載されている主要参考目録の量にくらくらする。
2014/02/16
辺野錠
今となっては埋もれてしまった小説家とかの話が詳しく書かれてて心底すげえ!と思う。海野十三は有名なのに謎の部分とか多いのね。これ書くの物凄く大変だろうなあと思った。途中に書いてるけど資料収拾の苦労とか物凄そうだ。元のバージョン高いけどちょっと気になるぞ!
2012/11/21
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