百物語 上之巻
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百物語 上之巻 / 感想・レビュー
三柴ゆよし
江戸っ子というのは、「野暮と化け物は箱根から先のもんでえ!」なんて見得切るわりに、怪力乱神を語るのが大好き。それにしても、なかなか怖い。全体的におだやかな、ふわふわした感じの絵なのに、どうしてこんなに怖いのか。答えは簡単。杉浦氏は、日本人の心性に根ざした怖さを、しっかりとらえているのである。怪談の原風景のようなものを、とても上手く表現している。春はあけぼの。夏はばけもの。怪談は夏の風物詩。眠れぬ夜にはひとつ百物語でもどうだろう。
2009/07/20
tom
杉浦日向子がとても楽しんで描いたと思われる百物語の世界です。昔の人たちは、怪異というのか、物の怪というのかしら、とにかく不思議な世界を身近にしながら生きていたのかしらと思わせる空気を描いている。楽しめました。
2014/12/14
3247
簡素にして簡潔な怪談が九十九。その上巻。素朴な絵柄と語り口の上手さ、オチや理屈のつかない不気味さ不可解さが愉しい。怪談志怪の好きな方にはたまらないでしょう。ただこれは倉橋由美子もいうように、やはり文庫の方がいいように思う。絵柄も文庫に最適化されているように感じるし、値段の面でも。装丁や扉といったデザインもいまひとつに思う。
2013/05/03
ぱや
杉浦日向子さんの名前で購入。高かったけど買って良かった。江戸の時代のもののけや怪奇現象にまつわる話。ぞっとしたり、ちょっと笑ったり、それだけ?と思ったり。結末の無さが不気味な時もある。わたしは、妖怪たちのなかでも出てきてるがそこにいるだけとか、何かしてるがだから?ってタイプがなんだか好きだ。
2012/04/22
龍國竣/リュウゴク
奇々怪々なる話が続く。狸や狐に化かされたり、鬼を背負っていたり、と。江戸の風俗、日常に潜む怪談を九十九話で綴る。実に多彩な話が揃っているので、読んでいて飽きることはない。文庫版でも出ているが、大きな紙で、秋の夜長にゆっくり頁を捲るのがお似合い。
2011/10/21
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