紅い部屋: 上村一夫晩年傑作短編集1980-1985
紅い部屋: 上村一夫晩年傑作短編集1980-1985 / 感想・レビュー
たーぼー
収録作中、『一葉裏日誌』はこれぞ、上村的正統といえる出来映えだ。僕は樋口一葉が只々、心優しい人であることを望んだ。一方で、筆一本あらば、地獄の閻魔をも愉しませる艶めかしい細腕を持つ人であることをも望んだ。その理想が悉く、此処にあるとは。誰にもついぞ知られず、味わわれることのなかった裏日誌。一体、何処に隠されたのだろうか…。早世した一人の明治女性と、同じく若くして逝った一人の昭和絵師による融合は、真夜中の闇にひっそり咲く紅い花の如く、高雅な情念があらわとならねば意味がない。
2017/05/13
ぐうぐう
晩年に発表された短編ということは、上村一夫が40代、しかも前半に描いた作品がここには収録されているということだ。そのことに、今更ながら驚かされる。樋口一葉を主人公とした「一様裏日誌」の連作を読んでいると、もし上村が今も生きていれば、どれほど豊潤で深遠な作品を描いていたことか、恐ろしくすら思えてくる。
2009/11/14
古本サバイバー
傑作ばかりの上村一夫の中でもこの「一葉裏日誌」はすごく好き。深みが違う。
2012/06/08
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