生き延びるためのラカン (木星叢書)
生き延びるためのラカン (木星叢書) / 感想・レビュー
Gotoran
フロイトの精神分析学を構造主義的に発展させたラカン。『文脈病』の著者が、複雑怪奇かつ難解極まりないと云われているラカンの思想を、フロイトの精神分析に立ち返りながら、平易かつ軽快な文章でユーモアも交えて、簡潔・明確に解説してくれている。これは圧倒的な知識、知性、見識を有しているに違いない著者の為せる業か。依然漠然としてはいるが、ラカン思想(想像界・象徴界・現実界、シニフィアン、対象a ・欲求、ファルス・去勢 等々)のイメージが掴めた。次は、新宮一成箸『ラカンの精神分析』を。
2014/09/08
fishdeleuze
ラカンの入門書。斉藤自身、ラカニアンとはいえないのだがと前置きしているが、どっぷり浸かっていないからこそ、少し斜めから見つつ、おもちゃ箱の中からむんずとおおきな塊を掴んで、ほぐして、言葉にしたような本。想像界/象徴界/現実界のたとえは非常にわかりやすく、この本はこの概念がわかっただけでもいいのではないか。ラカンについて知るには、もうすこし参考文献を読んだほうがいいのかもしれないが、個人的にはこの本で十分で、あとは少しフロイトが読みたいなと思った。
2017/12/21
燃えつきた棒
本書は、「知的に早熟な中学生ならすいすい読める」というあたりを目指して書かれたラカンの入門書だ。確かに、極めて平易な文章で書かれていて、気持ちがいいほどすいすい読める、が、僕には依然として分からなかった。 僕だけが、理解力が足りずに分からないのかと思って、やや不安になったが、「あとがき」を読んで少しほっとした。
2018/12/25
白義
これはすごい!確かに、日本で一番分かりやすいラカン入門書だ。ラカンの思想、概念が日常的な経験も交えてざっくばらんな口調できれいに解説されている。想像界、象徴界、現実界の区分をマトリックスで解説した部分は見事な分かりやすさ。悪名高い「女は存在しない」というテーゼも誤解の余地を減らして的確に解説される。確かに、ヘーゲルも女に神的なものとの繋がりを持たせたわけだし。これだけ読むと、東浩紀的な情報世界のイメージとラカンは相性がよさそうなんだけど、斎藤環はむしろ、そういう世界観への抵抗としてラカンを見てるようだ
2011/12/05
たりらりらん
中学生にも理解できるように書かれたラカンの解説書とのことで、語り口を始めとても丁寧にわかりやすく書かれている。図なども最低限に抑えてあり、余分なことは書かれていないため、ラカンなのにすっきりしている印象すらある。ただ他のラカン解説書とは異なる説明がされているように感じた部分もあったので(ラカン自体が年代によって言っていることが違うから?)、吟味できるように勉強を重ねたい。まだまだラカンの著作にあたるまでの道のりが遠い…
2011/10/05
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