殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩
殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩 / 感想・レビュー
くさてる
ミステリマガジンに連載された、ミステリという枠に収まりきならない未訳作品を紹介したエッセイ。未訳と言いつつ、書籍化されたころには邦訳が出ている作品も多く、つまりそれだけ著者の目が正しかったということかと感じました。それでも未訳のままの作品も多く、読みたさにじたばた。洒脱な解説で、ことさら面白おかしい文章でないのに、深みがあって興味をそそられる書評ばかりでした。読みたい本リストが充実しそうです。
2021/08/12
本木英朗
若島正は、本当に面白く英米その他の国々を紹介してくれるのである。この本もそんな一つである、俺は一度、2006年に買って読んだのであった。今回で2回目だけれども、やはり超すごかったよ、うん。【殺しの時間】と【失われた小説を求めて】の2部で構成されているが、どっちも本当に満足であった。さすが若島である。また10年後ごろに読もうと思うね。
2019/10/20
三柴ゆよし
『ミステリマガジン』に連載されていたエッセイをまとめたもの。もちろんミステリ寄りの作品がメインとなるが、そこはあくまで「寄り」であって、ジョルジュ・ペレックの未完の推理小説『五十三日間』(個人的にはこれがいちばん読みたい)はまだしも、ロバート・クーヴァー『映画の夜』、ジョン・ファウルズ『マゴット』など、もはやミステリ関係ないじゃん、という作品も多く取り上げられている。特に未邦訳作品の紹介に力が入っていて、気になる作品を見つけると、いちいちグーグル先生にお伺いを立てていたので読み終えるのに時間がかかった。
2013/07/13
ネムル
既訳本よりも未訳本の紹介エッセイのが面白い、この不思議。連載が単行本化する時点で、その半数が訳されているという事実に心躍らされるではないか。無目的・出口なし・行き当たりばったりな読書のなんと贅沢なことか……このエッセイに出口が見えず、ずっと読み続けていたいと思った。
2009/04/02
gu
推理小説にまつわるエッセイ集と思いきや、ジャンルの境界領域の作品紹介が半分、植草甚一のスタイルに重ねながら玉石混淆の未訳小説を語るのがもう半分。若島正はナボコフから離れているときの方が好感が持てるし面白いものを書いているような気がしてしまう。ブコウスキーの『パルプ』を取り上げた章の「悪文を読む最大の効用は、なぜか元気が出てくるところなのだ」と、コッツウィンクルを評して「彼の小説を読んでいて感じられるのは、『まかりまちがっても傑作を書いたりしないでおこう』という奇妙な意志である」と書いている箇所が印象に残る
2012/01/18
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