ブラバン
ブラバン / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
高校のブラバンと軽音。約25年ぶりに、結婚式の披露宴で集まって演奏する。結婚式への招待が目的でもあるかもしれない。高校時代と現代が細切れで話が進んでいく。誰かが何かが不完全燃焼だったのか、完全燃焼をもう一度経験したいのか。最後に著者による楽曲説明があるのが嬉しい。曲に対する思いが伝わってくる。著者が父親から本物を買ってもらったところの父親の気持ちが分かってしまう年齢に達したことにがっくりしながら読んだ。現在入手可能なCDの一覧を作成。http://bit.ly/16AcPXP (中学ブラバン。クラ吹き)
2013/06/03
へくとぱすかる
吹奏楽部を中心に回る高校生活をたっぷり描いている、と思って読み進めたのですが。予想とまったく違いました。作中の現在は四半世紀後。高校時代のことが、回想のようでもあり、リアルタイムのようでもあり、みたいな文章で、多彩な思い出が続々と続いていく。読んでよかったのは、ブラバンの内部にいないとわからない人物模様や音楽の生態など、実に生々しく出てくること。タイトルに偽りなし。主人公も含めて、結構みんな苦い歳月を送っていることに、一種の哀しさを感じる。音楽そのもののように。
2014/01/30
ちはや@灯れ松明の火
友達という安易で幼稚な響きが似合う関係じゃない。人生の中のほんの数年間を共に過ごし、ただ音楽好きという大雑把な共通項でくくられた吹奏楽部員たち。四半世紀止まったままの時計の針を一人が巻き戻そうと試みた。甦る音色。単純に明るいだけではなく、赤面モノの青臭さや忘却の彼方に葬り去りたいような恥に満ちた記憶。それでも眩しくて堪らないのはその輝きには手が届かないと分かっているからだ。もう戻らない日々、もう帰らない仲間たち。耳の奥で流れる不揃いで不格好で力に満ちていた旋律。あの場所に、少しだけ還ろう。
2010/02/07
きいたん
大人になった自分。そして高校生の時の自分。主人公他片の語りは両者を一瞬で行き来する。ブラバン再結成を求めて再会するメンバーも然り。数十年ぶりに再会してもその空気は当時のまま。しかし数十年の隔たりは確実にお互いの何処かを変えている。その齟齬がだんだんじわじわと染み込み、若くない自分の現実と向き合わせる。良い意味でも、悪い意味でも。若かったからできた事。そして大人になったからこそできる事。若かりし日の延長線上に今の自分がいるという当たり前の事を思い出させる。淡々とした他片の語りが身に染みる。そんな物語だった。
2018/10/19
鈴本優歌
いいなぁ、って素直に思いました。何年も前の吹奏楽部の仲間が集結、再結成、奇跡の本番。色々な事情で参加できなかったメンバーもいるけれど、ずっと楽器に触れていないのにも関わらず部員が集まって再び演奏できるなんて素敵だと思います。私は仮引退期間だけでも全然楽器が鳴らせなくなったので、「何年ぶりに楽器に触る」というのはとてつもないリスクを伴うはずだと分かります。それでも再結成した。文章でストレートに「チームワークのよいバンド」などの表現は使われていないけれど、実はいいチームなんだと思います。
2015/02/16
感想・レビューをもっと見る