幸福の王子
幸福の王子 / 感想・レビュー
Carlyuke
曽野綾子訳が気にはなっていたが初めて読んだ。何年も前の新聞広告を今だに覚えているのだから。朗読してみたのだが耳で聴いてそのまま理解できるような言葉が選ばれているわけではない。勝手に期待していた分残念。訳者自ら解説しているがこの物語自体の価値を高く評価している。絵はツバメと王子が素晴らしく描かれている。日本人が描いたという感じがしない。読んで良かった。
2019/10/17
Seiei Ikeda
奪って得られる幸せが存在しないことを、かって私に教えてくれたのは、曽野綾子さんでした。そして今、真の幸福は尽くすことと共にあることを伝える。寄り添うことで生まれる同情、尽くすことで得られる喜び、捨て去ることで広がる世界。幼きころから心の灯火となって、私の良心を照らし続けるこの物語は、曽野さんの新訳によって再び生命を授かりました。全てを与え朽ちてゆく王子。愛するもののために命を捧げるつばめ。ワイルドは語る「このお話は子供のためじゃないんだ。子供のような心を持った18歳から80歳の人たちのためなんだ」と。。。
2015/12/31
あじ
生命の黎明期に託されたこぼれ種が、王子の涙とツバメの体温で芽吹いた。全く不覚の再会、それだけに目頭が熱くなった。残留思念の波動に揺すぶられながら、一冊の本が長い年月を経て文字通り不朽となった瞬間だった。
2017/04/05
てんちゃん
幸福の王子の原文はこんなに美しかったのですね。詩的で華麗な文章にびっくり。ツバメは川面に揺れる葦に恋して旅立ちが遅れていたとか初耳です。美しい話と哲学的なテーマ。この物語の真髄を深く理解している曽野綾子さんの訳ですからあとがきも読みごたえがあります。「平和は平和を叫ぶだけでは達成しない。そのためにどれだけの犠牲を払う覚悟があるかを自分で選ぶのだ。平和と愛とは最大のものだから、その分だけ、ただならぬ対価が必要だということは当然である。」非常に厳しい(^^;
2018/11/11
いちろく
紹介していただいた本。幸福とは何か? を問いかけるような、王子の像とツバメの物語。子どもの頃、著者の作品と知らずに童話で似たような話を読んだ記憶がある。ただ、ここまで人の欲望や残酷な面まで描いた話だった記憶はないので、初読の気持ちで受け止められた。人生の中で読む時期により、受け止め方や印象が変わる内容とも思った。正直に書くと、ここまでの自己犠牲は私には出来ない。一方で強欲な人たちの側にも立てない。私は中間がいい。アリとキリギリスならアリギリスを選ぶし、カメとウサギならカメウサギを選ぶ。それが今の私の本心。
2023/03/06
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