甦るヴェイユ (Modern Classics新書 6)
甦るヴェイユ (Modern Classics新書 6) / 感想・レビュー
ころこ
新書なので見た目は評伝のように思えるが、エッセイだ。著者は言葉の落ち着かせどころが無い。そのため、評伝のような必要十分で正確を期す記述は向いていない。そもそも月報の形で書かれた覚書風の集積をつなげているので、一冊の本の中にある構成上のリズムのようなものも無い。第2章が「革命」で、第5章が「神」なので、前期ヴェイユから後期ヴェイユへの展開として大まかにとらえ、出版当時も既に革命という言葉に現実感は薄かったはずだが、それにも増して「労働・死・神」の後期に重要性が高まっている。
2022/11/17
amanon
個人的に食い足りないという印象が拭えない。ヴェイユというとりわけ個人的思い入れを抱きやすい思想家について書かれた書物において、著者とヴェイユとの関わりについてあまり触れていないというのは、どうしても不満が残る。ましてやその著者がかの吉本とくれば、その不満は余計に募る。ただ、ヴェイユの労働運動の挫折の経緯について述べる辺りで、著者が自らの体験を投影させていることはかなり濃厚に伺えるが。また、トロツキーとの会談について述べている箇所は、この二人の決して交わることのできない一点が改めて興味深く映った。
2013/08/31
クラウド
ヴェイユには革命への燃料があった、しかしそれは労働を通し灰燼と成ったかのようにもみえる。彼女はまっすぐだった。 苦しみもがく肉体のなかで、生と死の神秘にもとらわれながら…… 痛ましさと、情熱と、想像力と、それらをもつ人にとっての、等身大、それがヴェイユ。
2024/05/05
感想・レビューをもっと見る