源氏物語論 (洋泉社MC新書)
源氏物語論 (洋泉社MC新書) / 感想・レビュー
katashin86
吉本隆明の著作をちゃんと読んだのは初めてだが、ほどよく難解かつ大きな見立てのもと論が進むので読み進めやすかった。 著者じしんが現代語訳をもとに論じたと明言していることもあり、原文を重視する国文学からは激しい批判があったらしく、それはそれで頷ける。 第一部「母型論」はもはや通説的読解といえるが、当時はどう受け止められたのだろうか。その「母型論」テーマが崩れる、玉鬘登場以降について論じた第二部「異和論」が最も興味をひかれた。
2021/07/17
amanon
非常に刺激に富んだ源氏論で殆ど一気に読み終えた。著者後書きに本書がどれだけ偏狭な国文学者に酷評されたかを綴っているが、それに対する著者の痛烈な反撃には胸がすく思いがする。個人的に特に興味深く読めたのは、宇治十帖について論じた「厭離論」。宇治十帖全体に漂う厭世観、虚無感、薫の宮が抱えている苦悩に苛まれる姿に何とも言えない共感を覚えた者として、薫が知らず知らずのうちに自分が憧憬する女性をいわば台無しにしてしまうという指摘には色々な意味で虚を突かれた思いがした。著者の生前寂聴と源氏について対談して欲しかった。
2013/05/10
kaizen@名古屋de朝活読書会
吉本隆明が源氏物語を書いていることを知りませんでした。 どういうふうに、源氏物語とつきあえばよいかがのきっかけになるかも。
2009/05/07
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