体内飛行
体内飛行 / 感想・レビュー
だいだい(橙)
石川さんの第5歌集。「架空線」に比べれば一般的なただごと短歌に近づいた感じ。「体内飛行」は「短歌研究」の連載をまとめたもの。当初は体の一部を1回ごとのテーマにしており、1回目のメドゥーサの連作がとてもいい。その後、作者の私生活に寄った連作に変わっていき、最後の2章は、なんと結婚>出産。偶然とはいえ、見事に「体内」=「胎内」の話として決着した。これはこれで一つの小説のようで面白い。石川さんの視点や表現が好きだ。第2,第3歌集が入手困難で読めないのが悲しい。ぜひ、復刻してほしい!
2023/10/16
ちぇけら
ぺルセウス座流星群を見るといふ約束叶わず目を閉じてゐる。きみは、アルバムを捲ったときに溢れる星を集めていて、ときどき使い古したソーダ水の空瓶に詰めて、ぼくのうちまで届けてくれる。旅をしやうよ。ある日きみは、大きな鞄を持ってやってきて、唐突にそう言った。上空を、飛行機がぐうんと通った。半日もすれば、私たちもあの飛行機に乗つてゐるわ。夜になれば空には星がうんと集まつていて、絨毯にくるまれて眠るの。夢のやうな、だけど決して夢じやない世界へは、必ずあなたと行くと決めてゐたの。もうすぐ夜よ、なのに、こんなに明るい。
2021/04/23
まみ
美南さんの人生の盛り込まれた歌集。そうとは知らずに読み始めたけれど、ストーリー性の濃さとリアルさわくわくしながら一気に読み、あとがきを読んでまたはじめから読み直した。すごくよかった。あと詞書に登場した『はなはなみんみ物語』、記憶から消え去っていたけどなつかしい!トベリーノ トベリーノ ドンドン。
2023/07/28
わいほす(noririn_papa)
自らをメデューサに見立て「暗闇に目をひらきあふときのため枕辺に置く秋の眼鏡を」と闇の中で相手を見ようとしていた少女が、出産したわが子を見るため「薄明に目をひらきあふときのため枕辺に置く秋の眼鏡を」と結ぶ。「試着室に純白の渦作られてその中心に飛び込めと言ふ」など、恋愛、結婚、出産と人生のビッグイベントを迎えた歌は素直で初々しく、若い歌人かと思っていたら、自分史の短歌で晩婚と知り、初々しさは戸惑いでもあったかと読み直す。生まれたペガサスはペルセウスより手強いが、今後とてつもなく可愛い歌を詠ませてくれるだろう。
2021/11/05
ささやか@ケチャップマン
うーん、私はそこまで。短歌力の乏しい私にとってはストレートに心に入ってくる歌が少なかった。
2020/05/20
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