寂しさから290円儲ける方法
寂しさから290円儲ける方法 / 感想・レビュー
starbro
ドリアン助川、2作目です。タイトルと内容に多少違和感がありましたが、楽しめました。オススメは、第一話「世田谷区 豪徳寺」&第四話「上野 不忍池」&第九話「岩手 イーハトーブ」です。290円で頼めるなら、「麦わら料理」を是非お願いしたい。 https://www.shc.co.jp/book/18512
2023/06/24
とん大西
「新宿の猫」を読んで以来、ドリアンさんは好きな作家さんの一人です(ドリアンといえば「あん」なんでしょうが)。今回の作品は半分くらい私小説なんでしょうか。深夜ラジオのリスナーのような気分で読んだ290円の麦わら料理。小さな悩みのようで大きな悩み。全て解決とはいかなくても彼らに寄り添う麦わらさんの麦わら料理。どことなく可笑しくて、でも少しばかり哀しくて。そこんとこがドリアンさんらしい筆致だなぁ、なんて。ニューヨークでのアイデンティティの話しなんかはハッとさせられました。
2023/08/13
えみ
ハッキリ答えが出ていることも、人に背中を押してもらいたい。自分では見えないことも他人の目では一目瞭然。どうしよう、どうすればいい?の無限ループ、底なし沼に嵌ってしまった人々の救済が、もし290円ならば…。一筋縄ではいかない相談者に、もはやファンタジーすぎる麦わらさん、何もかも常識から一線を画して混沌としているのに何故かどの相談の最後も、心が温まる。290円で買えるもの。それは290円で人生をほんの少し変える者。麦わらさんの相談料。困り事、悩み事、地球上どこにいても実費+相談料290円で会いに来てくれる。
2023/09/04
とよぽん
ドリアン助川さんの作品は久しぶりだった。読友さんの感想に導かれて。「方法」とあるけれど、小説なのだろうと思って読み始める。「寂しさ」「290円」にもどんな意味が隠されているのだろうと思いつつ・・・。絶望的な状況から、かすかな希望の光明を見いだす過程が面白い。人の気持ちの機微を描くのが何て上手いんだろうと、改めて感じる作品だった。食に関する知識の広さ深さも、改めて感じた。290円って、あぁそういうことだったの! これは伏線回収と言えるのかな?
2023/11/29
kum
悩みを抱える人にそっと寄り添う麦わらさん。人生はいつも順風満帆なわけはなく、みんな生きずらさやほんの少しの絶望を抱えて生きている。でも少しの救いがあれば、また前を向いて歩いていける。追いかけてもかなわない時代ではなく、追い求めるべきは「居場所」だという船長の言葉が印象的。「それならあなた一人でも創り上げることができる。どんな小さな場所でもいい。自分の居場所を作りなさい。それで、生きていけるから。」
2023/07/22
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