クリスマス・ブックス
クリスマス・ブックス / 感想・レビュー
のっち♬
1843〜48年執筆の中編5篇。貧困と階層間抗争に喘ぐ当時の社会。『クリスマス・キャロル』『鐘の精』では障碍を持つ子供や嬰児殺しを扱い「人口過剰」論に反駁。後者は『炉端のこおろぎ』『人生の戦い』での家庭の守護天使として女性に理想像を押し付ける風潮批判へ繋がる。これらは『憑かれた男』においてよりグロテスクかつ精密な造形へ結実。著者はクリスマスのニーズに肖った超自然的寓話形式で現実に蓋をしない心理的・情動的・道徳的判断に訴えた。社会変革を物質面だけでなく想像力によるモラル養育を必須とする見解を地で行く傑作集。
2023/07/31
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