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八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4) (新鋭短歌 4)

八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4) (新鋭短歌 4)

八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4) (新鋭短歌 4)

作家
笹井 宏之
加藤 治郎
東直子
出版社
書肆侃侃房
発売日
2013-08-01
ISBN
9784863851184
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八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4) (新鋭短歌 4) / 感想・レビュー

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コットン

やさしさの歌の中に自然に音を感じられる笹井さんの歌が好きだ:散る銀杏散らない銀杏それぞれの並木を縫いしエンジンの音 / 追い風に追い越されては追い付いてバトンを渡す春の真ん中 / 弓張の弓もて奏でん群青のコントラバスのような森林 / 人生はソフトテニスの壁打ちさ さうつぶやいて風にでもなろう

2017/12/06

パフちゃん@かのん変更

『えーえんとくちから』の笹井さんの歌集。佐賀新聞に掲載されたものを中心に編まれている。新聞投稿の歌は本名で文語で書かれている。表題作は「八月のフルート奏者きらきらと独り真昼の野を歩みをり」でもこれは新聞掲載されなかったそうですが。方言で書かれた「冬ばってん浜辺の唄ば吹くけんねばあちゃんいつもうたひよったろ」もいい。「愛用の栞に付きし折り目より物語一行零れている」とか「廃品の中でひときはたくましく空を見上げてゐる扇風機」とかもいい。

2016/05/16

kaizen@名古屋de朝活読書会

笹井宏之 短歌 君が差すオレンジ色の傘を伝うたった一粒の雨になりたし うっかりと踏んでしまった水溜り古里ぼんやり眺めておりぬ 香りしは白木蓮とミルクティーあなたの目蓋おろしつつ春 一枚であること一人であることの水泡此岸桜は流れ アスパラの冷えゆくシンク排水の果てなる海に嵐来るらん 逃げ水を追い掛けていし頃の事ふと汝が頬に語りかけたり p22 今は亡き祖母の歌いし南天の実は啄まれようやくの春 返歌 今は亡き祖母の植えたる千両と万両の実は正月飾り 

2016/12/14

太田青磁

満月に彷徨える夢何処からフィドルの音は流れてくるか・まっすぐに走らせる赤クレヨンを唯一の筆とした日を思い・三日月の朝に結句が降るという予報みごとに外れいて晴れ・チェリストの弓は虚空を描きたり 最終音符に炎灯して・八月のフルート奏者きらきらと独り真昼の野を歩みおり・雨というごくやはらかき弾丸がわが心象を貫きにけり・少年よ大志いだかずとも人を愛せ 砂塵の吹雪く世界に・初恋のひとの背中を思いつつ紅葉降る坂道を下れり・たましひが器をえらぶつかの間を胡蝶ひとひら風に吹かるる

2014/07/28

冬見

「はつなつのたまごサンドを飲み込んで広葉樹林に佇むふたり」「静かなる庭に足音響きいて月かもしれぬ 鬼かもしれぬ」「真夜中の墓地あたたかし どのつちの下にも生の時間が眠り」「鬼百合が鬼に戻ってゆくさまを尼僧のやうな眼で見つめをり」「みづうみに沈んでゐたる秋空を十の指もて壊してしまふ」「うたふなら月をささぐるなら花を きみのつめたきまぶたのうへに」「ひたすらに瞳の奥を確かめる あなたは炎かもしれぬから」何度もあなたを思い出す。

2021/01/24

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