かわいい海とかわいくない海 end. (現代歌人シリーズ10)
かわいい海とかわいくない海 end. (現代歌人シリーズ10) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
書肆侃侃房の「現代歌人シリーズ」の1冊。書肆侃侃房は博多にある実に意欲的な出版社。こうした新進の歌人をシリーズで紹介してくれるので、私たち読者も嬉しいし、歌人たちも大いに励まされることだろう。さて、本書の瀬戸夏子。私は先端の歌人には疎いので、本書で初めて知ったような次第だが、結構なアヴァンギャルドぶりである。用いられている言葉の一つ一つは、いわば普通の領域にある。ただ、それが歌の諧調にのせられた時に、世界が混乱をきたす(それが面白みなのだが)のである。それこそが歌人の狙いであるのかもしれない。
2024/03/19
kaizen@名古屋de朝活読書会
#瀬戸夏子 #短歌 神童にもっとも近い艶やかな法律は水のきれいなイントネーション ゆうべ処刑のただしい心は南にむかった船はそのままきのうの実写へ 洗いたての権利と顔をあげて笑ってるあなたは自殺と同罪だろうか 消防士と強盗がかなしく分かつポカリスエットに頬を打たれる 花はさかりに血液をさかのぼる水増えてそのまま時はきみの味方だ シャンデリアを梳くひとにしかできない頬ずりを雨の目の前でして
2016/08/12
ちぇけら
おびただしいネオンサインに似た星になったことばはくずれさっていく世紀末のあさ。それは真夜中過ぎのシンデレラのようにガラスの破片を撒き散らして。とくべつな愛なんて気味が悪いからありきたりな愛を与えて死んでください。きみを永遠に葬ることできみという存在が永遠に与えられてそれからそれから涎が溢れる。「恋よりももっと次第に飢えていくきみはどんな遺書より素敵だ」「きみならば首を吊るだろう夕焼けに音楽ははじめに馴染んでく」字余りの嘔吐、字足らずの夢に窒息した虹の不足した色たち。
2019/02/04
おはぎ
なんというか…戦闘能力の高い歌たちだった。飛躍が理解できないのはままあることだけれど、ちょっと感覚的にしっくりこなくて、そういうこともあるよね〜という感じ。ポップでとっつきやすいと感じる人もいるのではと思う。「誘惑者 シンジケートに閉じ込めた七色以上の日々のバランス」「代名詞しかないままにあるがまま倒錯が行き来しているふたつの朝を」
2023/03/14
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定型を破って情緒を断ち切れ!瀬戸夏子の短歌は歌じゃない詩だ。
2018/04/18
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