文学ムック たべるのがおそい vol.1 (たべるのがおそい vol.1(spring2016))
文学ムック たべるのがおそい vol.1 (たべるのがおそい vol.1(spring2016)) / 感想・レビュー
なゆ
今村夏子「あひる」が読みたくて。知人からあひるを貰い受けたことから始まる、生活の変化。近所の子供が入り浸るようになってくるのだ。やけに賑やかになり、両親は嬉しそう。だが…ひたひたと迫りくる違和感。最後も、その場にいたら逃げ出したくなるような、いたたまれなくなるような。今村さんの作品、次はいつ読めるのか。藤野可織「静かな夜」も読めて嬉しい。なんかやっぱり怖い系。夜、つい耳を澄ましてしまいそうになる。他はみなハジメマシテの方ばかり。なかなか面白かったのは西崎憲「日本のランチあるいは田舎の魔女」。不思議な世界。
2016/09/19
HANA
小説、翻訳、随筆、短歌と幅広く収められているムック。収録されている小説は翻訳も含め、静かな中に何か不穏な雰囲気が漂うものばかりで非常に好み。今村夏子「あひる」は評判通りの出来、ただ途中から「銀の仮面」ばりの内容を想像してたけど微妙に外される。「バベルタワー」は何かしら筒井を思い出させるし、「静かな夜」も「コーリング・ユー」 も何気ない日常がいつしか不穏な雰囲気に包まれて素晴らしい。現代短歌はやはりよくわからないが、随筆は各人の書痴っぷりが兎に角楽しいし。文学の楽しみにとことん酔わせてくれる一冊であった。
2016/12/14
チェアー
芥川賞候補にもなった「あひる」を読みたくて。なんかちょっと哀しくなるような、残酷なような、不思議なあじわいのある作品。他の小説や短歌も、言いたいことが分かるような分からないようなぼんやりした作品揃いで、いかにも本が好きなんだよというムック。たべるのがおそい人向きです。はい。
2016/08/24
tomi
創刊号。小説は編集の西崎憲、円城塔、藤野可織らの作品が掲載されているが、注目は久し振りの創作で芥川賞候補になった今村夏子「あひる」。親子三人で暮らす家に「のりたま」という名のあひるがやってくる。一見、家族の平穏な日常を描いているようで…内向的で上手く社会生活を営めない(と思われる)「わたし」、どこか病的で危うさを抱えた両親。不穏な雰囲気の描写が秀逸。
2016/07/20
阿部義彦
頭から尻尾までびっしりと餡子の詰まった鯛焼きでした。ご馳走様でした。今村夏子さん初めて読みましたが「こちらあみ子」の人なんですね。こちらあみ子は凄く気になってた本なので是非そちらも読まなければと思いました。あとラストの西崎憲さんの「日本のランチあるいは田舎の魔女」も良くこんな組み合わせ考えるよなあとそして腑に落ちるような落ちないような不思議な読み心地でした。間に挟まった短歌の数々も良いアクセントで穂村弘さんみたいなまあ何とも言えない今風の一行初心者なりに楽しく味わいました。書肆侃侃房しかと刻んだ。
2016/05/07
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