ロマンチック・ラブ・イデオロギー (新鋭短歌シリーズ)
ロマンチック・ラブ・イデオロギー (新鋭短歌シリーズ) / 感想・レビュー
ぷほは
「私は普通だ」というあとがきの宣言は、芸術が持つ非規範性――「これが現実ですよね」と自信たっぷりに提示しているのに、受け手から見ればそこから不気味にズレていく――の表出というよりも、むしろ「普通ではない女の子が好き」というニューウェーブ系の呪縛からの脱皮を図っているものとして読めた。『花束みたいな恋をした』のカップルのように、別に押井守やきのこ帝国を知らなくても、字のへたくそな女は漢字がきらいな男との恋を歌にする。確かに抜けは良いが、それが保守的な姿勢によって可能となっている節もあり手放しの評価も難しい。
2022/06/28
toron*
どうしようもないほど無敵桜の木折っても誰にも咎められない 日本語を話しているとわからないくらい綺麗に口から夏が 他人よりわたし恵まれてるかもな 冷食のたらこパスタは美味しい 徹底的に自分のことを歌っている、またごく狭い範囲のなかの価値観(誰と付き合ったとか、「カブった」とか)をずっと詠っていて、めちゃめちゃ面白かった。初出では「他人より〜」の歌は「美味しい」ではなく「不味い」だったような気がするのだけど、変えたのだろうか。…ちょっと気になっているので、確認できないことが悔やまれる。
2021/05/23
トマス
「短歌はロマンチックに恋愛を詠むもの」というお約束は過去のものとなり、今や短歌がそのイデオロギーを告発している。10代の体当たりの恋愛に予期せぬコロナ禍が襲来した影響は大きい。直情的な言葉とシビアな現実の衝突が短歌に結実している。
2021/03/21
シロクマぽよんぽ
『短歌研究』2021年7月号の山田航との対談で興味を持ち、購入。表紙からもわかる通り、一言でいえば大森靖子っぽい。女性性・若さ・身体の文脈で他者から解釈されることへの抵抗と、少女性への懐古、そして自傷的な言葉と、いかにもまずそうな食べ物が並ぶ。気になるのは、ちらちら描写される政治とナショナリズム。コロナと東京オリンピックの影響だろうか。短歌形式的には、改行と語尾のリフレインは特徴として挙げられるだろう。個人的なお気に入りは、「+希望 -実家 +猫 (改行) わかりあえないことだけわかる」。
2022/02/09
みーこ
感性が若々しくてサブカルっぽかった。
2022/08/12
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