私が本からもらったもの 翻訳者の読書論
私が本からもらったもの 翻訳者の読書論 / 感想・レビュー
KAZOO
非常に面白い試みでした。光文社の古典新訳文庫の編集者の駒井さんが、そこで訳を行われている8人の文学者の方へインタビューを行ったものが収められています。主に海外文学がご専門の方が中心ですが、詩人の蜂飼耳さんもいらっしゃいます。ご自分の幼児からの読書体験が主に語られているのですが最近の業績にも触れられています。参考になりました。とくに酒寄進一さんはドイツ文学がご専門ですが、最近訳された岩波少年文庫の「ベルリン1919、1933、1945」のシリーズを読みたくなりました。
2023/07/13
けんとまん1007
自分にとって読書・本を読むとはどういうことだろうと考えながら、ページをめくった。翻訳者という職業柄、本に接するのが必須の方々の読書論は、興味深いものがある。8人8様で、表現も面白いが、本を読むことへの思いが深いのが共通している。自分が本からもらったものは何だろう?自分は、本は五感で読むものだと思っている。内容だけでなく、装丁や手触り・質感もある。非日常の世界への糸口であること。知らないことへたどり着く、さらにその先への繰り返し。ふと立ち止まって、思いを巡らすこと。自分の時間を持つことが一番だと思う。
2023/03/29
佐島楓
翻訳家の方々との対談集。語学の学習法ではなく、それまでの読書体験を中心にうかがうというシンプルな構成。ほとんどの方が幼児期から大量の本に触れ、日本の近代文学をお読みになっていた(特に漱石)ということをおっしゃっていて、きっちりとした日本語を読み続けることが翻訳の土壌となっているのだなと納得できた。わたしが本からもらったものは、人生そのもの。それは断言できるし、すごく幸せなことだ。
2021/11/10
tamami
編集者である著者が聞き手になって、関わりのある8人の翻訳者に、子どもの頃からの本との馴れ初めや、翻訳を志した外国語への思い入れ、最近の読書体験の中から印象に残ったことなどをインタビューしたもの。いずれも負けず劣らずの読書人である方々の話はどれも面白い。一冊の本との出会いは、本当に様々なケースがあるものということを納得する。外国語との出会いも同様。こういう方々のお陰で世界中の小説や評論が読めるかと思うと感謝の念が湧いてくる。引っ越しで幼少期の思い出が詰まった荷物を全部亡くされた酒寄さんの話は身につまされる。
2023/03/23
mayumi
「編集者の読書論」が面白かったのでこちらも。今作は様々な言語の翻訳者8人の読書にまつわるあれこれを対談形式でまとめたもの。8人のうち、知ってるのは酒寄さんだけでした。どの方も、さすがという読書量。中学生の頃にカントを読んだ人までいて驚き。特に高遠弘美さんの読書は凄いなあと感嘆した。フランス文学の人だけれど、日本文学にも造詣が深い。江戸時代の随筆まで読んでる。教養とはこういうものだと目を開かされる思いがした。そんな高遠さんが本からもらったものは?という問いに「生きる喜び」と答えているのも素晴らしい。
2023/07/23
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