アンソロジー・プロレタリア文学4 事件──闇の奥へ
アンソロジー・プロレタリア文学4 事件──闇の奥へ / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
まず、中野重治の詩の不敬罪に問われかねない内容に衝撃を受ける。「転機」は正義感に燃えるも結局は都会暮らしに慣れきった私と地元民との温度差が虚しい。特に2部から読むのを何度も中断せざるを得なかった。何故なら、2部は関東大地震に際しての朝鮮人虐殺が描かれた作品が収録されていたから。貴重なエッセーでもある「十五円五十銭」の意味にゾッとした。そして「奇跡」の「朝鮮人が寺院を焼こうとしている」とデマを流したのに奇跡を演出したことを嬉々と語る牧野の姿に「日本人」という事への汚らわしさを感じてしまう程、悍ましい。
2018/01/29
着席
感想少ないな。すきな作品のみ読んだ。 ①「砂糖より甘い煙草」/小川未明…いいなと思ったら小川未明で納得。「野ばら」でも感じたけれど未明の書く青年は涼やかでどこか淋しげで美しい。 ②「骸骨の舞跳」/秋田雨雀…「君達の持っているものは、黴の生えた死んだ道徳だけだ。」楜沢氏の解説によれば、ラストは傍観者の枠を抜け出すものであったというが、個人的にはややファンタジーすぎる着地かなあと感じた。
2021/07/09
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