最後の愛人 (無双舎文庫)
最後の愛人 (無双舎文庫) / 感想・レビュー
jamko
著者の人生をテーマにしたノンフィクション『赦す人』を読んでから手に取った作品。表題通り「最後の愛人」であったさくらの突然の自死に打ちひしがれる老作家の日々を描くどこまでも私小説的な短編集。突然の愛人の死から主人公の老作家は絶望に追い込まれるも、いつでもユーモアを忘れない本妻、おかしな言動ばかりの編集者や飲み屋の主人たちのエピソードなどが多く挟み込まれ、物語は驚くほどカラリと乾いている。でもだからこそ感じ入る。人の死は1対1の物語でなく、1対無限なのだと。そして広がる切なさを、じわじわと。
2013/01/29
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