パスカル パンセ抄
パスカル パンセ抄 / 感想・レビュー
ころこ
大体1ページ1断章で空白が多く、1000ある内の200位に大幅に情報量を絞って収録しています。このこと自体が編訳・鹿島による批評といえます。付されている断章番号はブランシュヴィク版で、読まれ続けてきた形に鹿島が拘っています。ところが、並んでいる順番は何版でもない。飛鳥新社から出版されているということも含め、超訳本のような雰囲気の装丁のキッチュさが見逃せません。鹿島が本来は持っていて、今回はあえて隠しているディレッタンティズムとの妙なバランスがとれている変わった本です。完訳に挫折した読者は試してみてみてはど
2021/06/03
踊る猫
『パンセ』ってこんなに分かりやすい本だったっけ? 昔中公文庫で読んだ時はなにが書かれているのかさっぱり分からなかったのだけれど……鹿島茂氏による翻訳は極めて読みやすく、原著からキリスト教関連の専門的な記述を省いたということもあって内容は良くも悪くもツルツルと頭の中に入って来る。単なる思いつきとも取れるところから箴言・名言まで盛り込まれており、読むたびに新しい発見がありそう。多分パスカルは生きていたらアルファツイッタラーになっていたんだろうな。賛否は割れるだろうけれど、ここまで平たく読ませる力量は流石と思う
2016/07/19
Yuka M
「人間は考える葦である」「クレオパトラの鼻。それがもう少し低かったら」クラシック・ガニエル双書の一冊である『パンセ』から宗教色が強くない部分を抜擢した抄訳本。
2015/11/17
ヨハネス
何年も、読まなきゃと思っていたのに、なぜそう思ったのか忘れてしまいました。こんな本があるということは、本物のパンセはとっつきにくいんだろうな、とは思います。抄本だから、パッと開いた見た目は名言集のよう。「あまり自由なのは良いことではない。必要なものを全部持っているのは良いことではない」が良かった。ところでパスカルって「ヘクトパスカル」の由来だったとは知らず(恥)。そういえばパスカルの原理とかあったっけ。パスカルが、同じ哲学者であり数学者(パスカルは物理学)のデカルトのことを「許せない」と言うのが可笑しい。
2017/02/21
Susumu Kobayashi
気が向いた時にちびちび読んでやっと読了。考えさせる文章だからそれぐらいがちょうどいいのだろう。「人間は一本の葦にすぎない」で始まる断章(p.213)が一番有名で、実際に深い内容を含んでいる。それ以外では、「人間にとって、完全な休息の中にいながら、情念もなく、仕事もなく、気晴らしもなく、神経を集中させることもない状態ほど耐え難いことはない」(p.120)というのもまた真実だなと思う。趣味のない人が定年で仕事がなくなった時どうするのだろうと心配してしまう。その点、読書というのは格好の気晴らしである。
2016/07/16
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