ディーゼルカー
ディーゼルカー / 感想・レビュー
おおた
幼馴染みの男女が二人ともお嫁さんになりたいと勝負。決着のつかない二人は紆余曲折を経て度胸試しに子供だけで乗ったことのないディーゼルカーで終点を目指す。男女の垣根をなくす発想、わたしは大島先生からいただいたなと改めて思う。男らしさ女らしさなんて誰かが押しつける虚像、自分らしく・自分たちらしくあることが何よりも大事だと勇気をもらえる一冊。
2021/02/07
ケ・セラ・セラ
少年と少女。とっても愛し合っていて、将来結婚しようと決めて、だけど二人とも花嫁衣装が着たくて。それではどちらが花嫁に相応しいか競うことにして…。1970年代後半に大島弓子氏が描かれていた作品。女性の社会進出とか何とか言われながらも、男女かくあるべきがまかり通っていた頃。二人の無邪気さ真剣さが微笑ましくてきゅんとして、何故か胸が目尻がうるっとして。今だったらジェンダーだ何だって言って、最後引出物の落としはいらないってなるかもしれないけれど。古本屋でたまたま見つけて購入。出会えて良かった。
2023/03/05
ぐうぐう
1978年に発表された絵物語の単行本化。オールカラーの作品だが、雑誌「リリカ」に掲載された作品だと知り、膝を打つ。サンリオの「リリカ」は、当時としては画期的なカラー漫画誌だったのだ。手塚治虫の『ユニコ』も連載されていた雑誌。あとがきにあるように、この作品で色鉛筆によるカラーページを経験し、以後、それが大島弓子の定番となる、いわば記念碑的作品だ。内容も、花嫁になりたい男の子と女の子という倒錯が、いかにも大島漫画らしく、楽しい。
2013/01/02
おおた
20年近く探していた本がまさかの復刊。2012年の心憎いプレゼント。『綿の国星』と同時期の作品で、ふんわりとした繊細な色遣いで懐かしい写真を見ているような印象。ジェンダー云々よりもまずはこの美しさと優しさを愛でてほしい。
2012/12/31
遠い日
やさしい色鉛筆画。カラーの漫画は楽しい。君太と黄野子の小さくも雄々しいラブ・ストーリー。花嫁のふさわしさ比べの展開にはらはらしつつも、「忍耐」比べで勢いつけて出かけてしまったディーゼルカーの車中のようすは、この世ならぬものの気配にとまどう二人の感性がビビッドに描かれて、読み手も同じ車中で惑う感じに酔う。二人がおさまりをつけた結末も、意表を突かれて、爽やかささえ漂う。自分の人生、自分たちの人生を見つけた二人に拍手。
2013/05/17
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